Stories_Jacket1
最初に思ったことは今の本家ブログに書いたので、ここでは敢えて違うことを。

実は"ポテトサラダ"が公開された時点で、ZAZEN BOYSというか向井秀徳の変化を感じた。変わったというか、歳をとったというか。ZAZEN BOYSのライブで問答無用に盛り上がる曲は"Kimochi"や"Crazy Day Crazy Feeling"、もしくは"半透明少女関係"までだと思う。この3曲はメロディーの時点である程度名曲の顔をしている。

そして『3』以降の、このようなバンドになる曲は"RIFF MAN"であったり、"Asobi"や"I Don't Wanna Be With You"だった。これらの曲は上記の3曲とは違った方向のポップさ、(一応)大衆性を追求した曲だと思う。まだライブの盛り上がりや、随所に魅せることを意識している。

しかし今回の『すとーりーず』の先行公開は"ポテトサラダ"はある意味、衝撃だった。衝撃的過ぎて、あれほど待っていたZAZEN BOYSの新作がまったく楽しみでなくなったくらい。



何度聴いても、どう考えてもシングルづらしてない。「売る気ないの!?」とさえ思った。

衝撃的すぎて2回くらいしか聴けなかった。「そうかー、ここまで達観したかー」という段階を通り過ぎて向井が諦めてしまったのかとさえ思った。そりゃあこんな曲じゃPVが作れないし、と勝手に納得。

というわけで、1mmも期待せずに9月5日を迎えた。印象が覆ったのは9月6日の朝、iTunes Storeで"サイボーグのオバケ"を聴いた時。



「あれ、全然メロディアスでもポップでもないし、それどころか重厚ですらないけど、リズムや音がめちゃくちゃ気持ちよくない?」

そのあと"はあとぶれいく"と"すとーりーず"を聴いてるうちに、「このアルバム、音は軽いけどかなりツボを押さえてるかも」という気になって、その1時間後には向井秀徳情報のDL販売サイトからダウンロードで購入。今に至る。

言ってしまえば”ポテトサラダ”の公開でハードルを下げたと解釈も出来るし、根っからのファンには"ポテトサラダ"で十分伝わったとも言える。だけど僕にとっては「ボールにいっぱいのポテトサラダが食いてえ」と叫ぶだけのあまりポップではないこの曲が、アルバムの流れ出はなぜか妙にいい塩梅に聴こえるのが、凄いを通り越して、あんなことは向井秀徳御大にしか出来ないとしか思えなくて、「一度見限ってすみません!!」でしたと本当に土下座したい気分。すみませんでした。このアルバム、楽しすぎて長く聴けそうです。