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 基本的には重たい映画でした。劇場公開から一週間先駆けて放送されたTVドラマ版がコメディ要素の強い「踊る大捜査線」らしい作品だったのに対して、明らかにシリアスな方向に振り切っていた。だから「踊る」の映画4作目というよりも「踊る大捜査線 THE MOVIE 3」の続編なのだと思います。小栗旬が演じる鳥飼誠一が、警察から復讐者に転落する様はクリストファー・ノーランの「ダークナイト」を意識していると思いました。

 そういうしっかりとした骨格があるにもかかわらず、ネタを盛り込み過ぎたのが良くなかった。スリーアミーゴスに代わる新しい署長になった真下や旧勢力のコメディは、おもしろいからなかったらなかったで寂しいけれど、それを削る覚悟が必要だったと思います。

 恩田すみれ(深津絵里)の退職を絡めたのも良くなかったです。つまり物語自体は鳥飼一派を中心とした復讐者によって動かされているにもかかわらず、一方ではすみれさんを心配しなければならないわけです。最初の劇場版の時には猟奇殺人と誘拐事件が同時並行的に発生していたし、踊るの映画シリーズではは割とやり尽くされた手法だけど、いざと言う時に精神的支柱になるすみれさんが離脱するのはきつい。しかも最後の場面にバスジャックをさせてまで物語の本筋に参戦させるあたりは、脚本家・君塚良一の終わりとしか思えませんでした。しかもあの場面を、裏テーマで「すみれさんの死後」として描いていた本広監督はもう死んだ方がいいわけで。

 細かい部分では見応えのある作品でした。個人的には小栗旬、それからネットで酷評されている香取慎吾の演技が素晴らしかったと思います。ですが作品としては「3」に劣っていました。(★4)