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2010年にリリースされた曲。小栗旬が監督を務めた映画「シュアリー・サムデイ」の劇中歌。

自分は「マクロスF」の音楽を聴いて菅野よう子の音楽にはじめてふれた。"ライオン"や"トライアングラー"のようなテーマ曲として印象に残る曲もあれば、"アイモ"のような歌の起源に迫るような曲、それからサントラも手掛けていて、守備範囲が広すぎて捉えどころのない人だと思った。昨年の年末に紅白歌合戦のテーマ曲も彼女が手掛けていて、その時は逆にいい曲なんだけどその日一晩で忘れてもかまわない雰囲気があって、つくづく「わからねー」と思っていた。

今回自分は映画「シュアリー・サムデイ」を観てこの曲を知ったわけではなく、ふとしたきっかけでこの曲を聴いた。もし「菅野よう子 × 手嶌 葵」の前情報がなければ僕は確実にこの音楽を聴いただけでは菅野よう子の曲だとわからなかったはず。それほど菅野よう子のイメージから離れた曲だと思う。
菅野「サウンド的な、私の訴えたいこととかはないですね。最初からなかったです。自分がないんで(笑)。全くないですよ。どうでもいいんで、そういうの」
日刊サイゾー - 「音楽が一秒で降りて来る瞬間、それは幸福な体験」音楽家・菅野よう子の世界(後編)
こういうエゴのない作り手が表に出てくることはあまりない。誰が作ったかはわからないけど、名曲。美へのアプローチとして、これ以上の姿勢はないと思う。

喪失感のあるピアノの伴奏と手嶌葵の歌声。それに弦楽器の音が加えられているのだけど、それが生音なのかはちょっとわからない。機械的なストリングスの音のような気がする。喪失感が美しい。配信用に描かれたやくしまるえつこのイラストも、外仕事なのにすごく合ってる。