
坩堝の電圧(るつぼのぼるつ)(初回限定盤B:DVD付き)
1曲目の"white out (heavy metal)"で泣いた人は多いはず。これは2012年の"青い空"だと思う。その一方で『ワルツを踊れ』も感じるし、ロックなのにトランペットの音もする。2ndアルバム『図鑑』の頃の匂いもする。懐かしくて泣きそう。そう思っていたら民謡なのかパンクなのかわからない、だけどやたらと和な"chili pepper japones"になだれ込み、"everybody feels the same"で一気にピーク。『NIKKI』っぽいと思った。くるりのロックンロールナンバーはかなり久しぶり。アルバムで言うと『NIKKI』以来。新メンバーのファンファンのトランペットが滅茶苦茶気持ちいい。
今までアルバムごとに新しいカラーを打ち出していたくるりが、過去のアレンジを再利用している。それがこのアルバムで一番画期的な部分だと思う。メンバー全員がボーカル及び作詞作曲に携わるようになったことも影響しているのかもしれない。封印を解いたというわけではないけど、あれほどストイックだった岸田繁が別メンバーのソングライティングまで解禁するとは思わなかった。このアルバムには『さよならストレンジャー』から『言葉にできない 笑顔を見せてくれよ』までのくるりが満遍なく存在する。いままでくるりはそういうことをしなかった。
このアルバムが最高傑作なのかは時間が経てばわかることだけど、このアルバムに並ぶのは1stアルバムの『さよならストレンジャー』だけだと思う。くるり史上最も自由なアルバム。本当に何度も何度も聴いてる。
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