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元々鈴木央の作品が好きでよく読んでいた。以前週刊少年ジャンプで連載していた「ライジングインパクト」は、ジャンプで一度打ち切りになってから連載再開されたという意味でも伝説的なマンガだし、その後パワーインフレの進行と伏線貼り過ぎたせいで打ち切りになったけど、あれはジャンプ編集部最大のミスだと今でも思う。そのくらい好きだった。ジャンプではそういう形で涙を飲む人が多いのは事実だけど、でも最後の舞台が整ってこれから!という時だったから。

その次に連載された「Ultra Red」もおもしろかったけど早々打ち切りになって、ウルトラジャンプで連載された「僕と君の間に」を読んでから一度彼の作品を読むのをやめてしまった。この人が真面目にファンタジーを作ると、ファンタジーを愛しすぎて失敗してしまう感じがして読むのがつらかった。ファンがひっそりと愛するタイプの作品だった。その後、少年サンデーで「ブリザードアクセル」と今回の「金剛番長」が連載されていたのは知っていたけど、その頃サンデーに興味がなくて読んでいなかった。でも昨年週刊少年マガジンに掲載された「七つの大罪」(読み切り版)が凄く良かったので、最近再び鈴木央の作品をチェックしている。

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今回はサンデーで連載されていた「金剛番長」を読んだ。金剛番長という巨大な主人公が、東京23区それぞれにいる番長を倒していく物語。もちろんそこには多少厄介な事情があるけど、強面だけど優しい金剛番長はとても魅力的だった。敵を倒さなくても絵になる主人公だと思う。少年マンガだからばっさばっさと敵を切り倒していくけど。

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印象に残ったのは、金剛番長がヒロインの妹を作ったプリンを食べているところに敵がやって来て、それなのにプリンを食べるのをやめない場面。その子に感謝しながら食べていて、番長の優しさと強さのギャップがおもしろく描かれていた。鈴木央は昔からそういうコミカルな描き方がうまくて、それがずっと続いて欲しいなーと思いながら読んでいたけど、案の定、巨大な敵が確定してからはシリアスなバトル漫画になってしまったのが少し残念。バトルもおもしろかったけど、物語の進行が少し急過ぎた。

他に印象に残っているのは、最初は敵役として登場した卑怯番長だった。このキャラは味方を守るならどんなに卑怯な手でも躊躇なく使う実はなかなか熱い男だけど、その卑怯番長が終盤の敵として登場した外道番長の外道っぷりに翻弄されるバトルが印象的だった。それぞれのキャラに能力があるところが、ジョジョやHUNTER×HUNTERの影響を伺えるけど、その領域までは達してなかったのが残念なところ。でもこの対決はおもしろかった。

終盤は「僕と君の間に」や「七つの大罪」同様、支配しようとする人たちとそれに対抗しようとする人の戦いになって、その戦争が悲壮感を帯び過ぎて今はまだ楽しめない。でもこの作品で久しぶりに鈴木央の作品を満喫できた気がする。次は「ブリザードアクセル」と「ちぐはぐラバーズ」を読みたい。「七つの大罪」の感想はまた今度。