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チャットモンチーの音楽を聴かなくなったのは『YOU MORE』の頃。インパクトが弱かった。でもそれが悪いとも思わなかった。3rdアルバムの『告白』はチャットモンチーのピークだったわけで、その後の『Awa Come』と『YOU MORE』を聴くかぎり、今までと違うものを目指してるのはわかったわけで。その途中の一作くらいが好きじゃなくても、次はきっと好きになるアルバムを作る。そう思ってた。それに好きではなかったけど『YOU MORE』だっておもしろかったし。

その矢先の高橋久美子脱退!正直、チャットモンチーは解散してもおかしくないと思った。もう無理だ。このバンドは代理のドラマーでは演奏はできても、チャットモンチーのゆるやかな空気は消えたと思った。

その矢先のシングル連続リリース!そして晃子のドラム転向!!「やるなー」と思うと同時に「それしかない」とも思った。でも痛々しくて見ていられなかった。"満月に吠えろ"がギリギリで、"テルマエ・ロマン"は僕にとってアウト。今、考えると"Last Love Letter"路線の曲だから、チャットモンチーにしては安全牌だったのかもしれないし、あの曲で安心した人もいると思うけど、自分にとってチャットモンチーは"ハナノユメ"と"東京ハチミツオーケストラ"だったから寂しかった。勝手な思い込みなのはわかってる。

『変身』は橋本絵莉子のアルバムだ。『YOU MORE』は結果的に高橋久美子のアルバムになった。結果的にチャットモンチーの曲はリアルな方向に振りきったと思う。高橋久美子を失った喪失感と、それを埋めるための底力が混ざりあって爆発してるアルバムだと思う。僕がチャットモンチーに求めていたものはもうここにはない。でも今までで一番ロックっぽいアルバムだと思う。「いつもより/ゆっくり体を洗おう/お疲れ様は疲れてるんだ」とかゆるいのかシリアスなのかわからないことを歌っているけど、これが彼女達の現在なのだと思う。



1stフルアルバム『耳鳴り』の"どなる、でんわ、どしゃぶり"を思い出した。