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想像よりずっと良かったです。00年代、10年代のアクション映画の文脈はことごとく無視しきってます。スタローン、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リーという希代のアクションスターが揃い、ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネガーがカメオ出演し、ミッキー・ロークが最高に意味深なことをぼやいています。とにかく絵になりまくる映画です。「何これ、アクションスター界のアベンジャーズ?」とか思いながら見たのですが、ただただスタローンがハリウッドの最前線に復帰した映画でした。とても素晴らしかったです。

アクション以外はクソです

ストーリーなんてあったもんじゃありません。傭兵集団が破壊、殺戮をするだけの映画です。中盤からスタローンが妙な正義感を見せるけど、ちょっと気になる女の子を助けるためだけで、助けたあとは男らしく彼女の前から去ります。連れて行かなかったのをジェイソンが「好みじゃなかっただろ?」と茶化しますが、多分本当に好みじゃなかったのだと思います。というのも、彼女の最後のシーンでの横顔が妙にぶさいくだったからです。助け出そうとしていたときは美人に見えたんだけど。舞台はキューバっぽい島で、標的はCIAくずれ。時代錯誤甚だしいのは個人的に好感を持てました。

アクションだけの映画です

スタローンが殴り、銃を撃つ。本当に見事です。これほどまでに絵になる殺戮ができるのはスタローン以外にいません。ジェイソンのナイフ投げ、ジェット・リーの肉弾戦も素晴らしかったです。ジェット・リーの戦闘シーンに関してはカンフーをおそらく敢えてあまり使わなかったのですが、その結果、ジェット・リーの基本的アクションの性能の高さがありありとわかります。そのあたりに関するスタローンのディレクションは本当にクソ素晴らしいです。脚本はクソだけど、脚本がクソだからこそアクションが生きています。そんなことができるのはスタローンだけです。

旬ではありませんが、多分世界最強です

この映画はどう考えても「スパイダーマン」や「バットマン」、「アイアンマン」のように評論家に受ける映画ではないけれど、多分スパイダーマンもバットマンもアイアンマンも、スタローンには負けます。ヒーロー界最弱のバットマンは肉弾戦でスタローンに破れ、スパイダーマンとアイアンマンは傭兵集団の罠にかかって息絶えるでしょう。「勝ったから何?」って話ですが、そのくらいアクションが優れているということです。世界最強です。

既に「2」が公開され、「3」のキャスティングが注目されているようですが、個人的にはトム・クルーズやユマ・サーマン、そしてジャッキー・チェンなどの90年代のアクションスターに参戦して欲しいです。ストーリーなんてあったもんじゃないけれど、これだけの名優が集まればそれだけで映画になることが証明されました。絶対に日本人には作れません。例え、岡田准一が参戦してスタローン相手にマウントポジションをとっても、横からマシンガンですぐに銃殺されます。そういう映画です。たまらないです。

旬を過ぎたことを理解した上で、こういうある意味開き直った映画を撮れることは本当にすばらしいです。思い返して観ると、スタローンの「ロッキー・ザ・ファイナル」も、完璧じゃないけど思ったよりはずっと良かったんだよね。そのあとに「ランボー/最後の戦場」を撮っているし、お客が見たいものを誠実に作るスタローンは本当に偉いと思います。