一気に観たらへとへとになったよ。

[前編] 始まりの物語

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 TVシリーズで言うと第一話から第八話までのエピソード計200分を120分に圧縮。細かい編集は加えているのだろうけど、絵が幾分きれいになったこと以外変化を見分けることができなかった。それほどまでにTVシリーズ準拠していた。TVシリーズを一度観ている人は、よほどの動機がない限り無理に見る必要は無い。ただ「今まで一度も見たことがないけど、これを機に見てみたい」「TVシリーズはもう擦り切れるほどまでに見たからこそ、細かい違いが気になる」という人は是非観てほしい。

 自分の場合、ずっとぼーっとしながら観ていた。巴マミが魔法少女になった理由が削られていたけど、尺を考えると仕方ない。ただ今回見返して自分は意外と巴マミが好きなことに気づいた。容姿もそうだけど、銃を構える姿勢が絵になっている。美樹さやかと佐倉杏子は相変わらず苦手だった。まどかは主人公なのに影が薄かった。

 前編を見てTVシリーズの偉大さを思い知った。特に後半の毎話ラストに不幸のどん底に落とされるシーンが、エンディングを挟まれることなく一つの作品に注ぎ込まれると大変に疲れる。不幸だらけでお腹いっぱいで、前編だけでヘトヘトになった。

 Kalafinaの「Magia」が素晴らしかった。そして劇場用にアレンジされた「Magia[quattro]」の破壊力も凄かった。ClariSの「ルミナス」も良かった。あのOPのためだけに何度も前編を見た人がいるはず。



[後編] 永遠の物語


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 後編も基本的にはTVシリーズ準拠。ただ前編と違って退屈することはなかった。後編に関してはTVシリーズ視聴者を泣かせにかかっているところがあって、逆に劇場版が初見の人は「?」になってしまう仕掛けが一つあったけど、それ以外はよくできていた。後編はTVシリーズを一切改変しなくてもいいくらい完成している。新カットが邪魔なほどだった。

 相変わらず美樹さやかと佐倉杏子が苦手だった。さやかが好きな男の子のために自らを犠牲にして彼の腕を戻し、その上で親友に男が取られそうになっても何もできない容量の悪さは、まるで自分を見ているみたいで辛い。ただ彼女が親友の前では明るく振る舞うシーンがカットされていたのは少し残念。

 過去のシーンを観ていて、暁美ほむらはまどかに心酔しているけどそれはまどかがマミに抱く気持ちに近いのかもしれないと思った。憧れの対象でありながら、それを守るために戦いをしなければいけないという構図がおもしろい。

 TVシリーズ同様、まどかが最後の決断をするに至ったプロセスがわかりにくかった。彼女の決断は素晴らしいと思うけど、ああいう全方位的にやさしい女の子がどうしてシビアな決断を下せたかについては脳内補完するしかなかった。 

 後編最初の「ルミナス」のOPに続き、ほむらの過去編の後に「コネクト」のOPが見れたことには涙が出そうになった。「まるで月9ドラマのようなダサい演出にゲンナリ」という宇野維正さんの指摘が間違っているとは思わないけど、あれをうれしいと思った人も少なくないはず。もしかしたら新曲の「ルミナス」と「ひかりふる」を使うことが映画化の制約だったのかもしれないし、その上でTVシリーズを補完するために二度のOPというありえない演出したと考えることはできないだろうか?わからないけど、とにかく「コネクト」のまどかはかわいい。

 最後に「魔法少女まどか☆マギカ [新章]叛逆の物語」の予告編がすべてを持っていった。その中にはほむらがいて、マミがいて杏子がいるのはまあ当然だけど、さやかが謎の復活を遂げ、おまけにまどかも登場。映画の尺で作られることもうれしい。