「2012 私的ベスト 音楽篇」は「ベスト10曲」と「ベストアルバム10」の二部構成にして掲載することにしました。昨年までは以前やっていたブログでアルバムのベスト50を作ったりしていたのですが、それもレビューするのがキツかったので今年はすぱっと切り捨てて10曲&10枚にしました。
ちなみに2011年、2010年のベスト10曲はこんな感じです。
というわけで2012年の私的ベスト10曲です。

桜流し [DVD]
活動休止中の宇多田ヒカルが「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」の主題歌として書き下ろした曲です。震災以降はじめてのリリースということから、彼女が震災について書いた曲だと言われています。僕自身は最初聴いた時特にこれが震災を契機として生まれた曲だとは思いませんでした。彼女は以前から「テイク 5」のような絶望と希望の先の気持ちを描いた曲を書いていたからです。
彼女がシーンから姿を消して2年、寂しいといえば寂しいけれど、最近のアーティストは2年くらいざらに休むのでそれほど長いとも思いませんでした。だけどこの曲を聴いた瞬間、どうしようもなく彼女の音楽を渇望していた自分に気づきました。活動休止前、彼女はアルバムという単位で作品を作らず、ベストアルバムで未発表曲をリリースしました。それらは1曲が1枚のアルバムのような濃い曲でした。「桜流し」も同様に、1曲でアルバム1枚分のエネルギーを注いだような、スケールの大きく濃い曲だと思います。彼女はtwitterではエヴァの内容に関わらない作曲を依頼されたこと、そして1年以上制作に時間がかかったことを呟いています。
本当に優れた音楽家が時間をかけて作った傑作だと思います。今年聴いた音楽の中で一番心に染みました。
2. GRAPEVINE「
MISOGI EP(通常盤)
今年発売されたGRAPEVINEの3枚目のミニアルバム『MISOGI EP』収録の曲です。前作『真昼のストレンジランド』から1年1ヶ月ぶりにリリースされました。作詞は田中和将、作曲は亀井亨が担当しています。今作ではユニコーンのプロデューサーを務めている河合誠一マイケルがプロデュースを担当しています。
もしかしたらこの曲は震災のことを歌ったのかもしれないと、今更思いました。もしそうだとすれば、この歌は震災に対して希望や愛を歌っているものではなく、まるで遠い世界の出来事のように歌っているのだと思います。もし自分が実際に震災に遭遇したら、最初は違うかもしれないけど、時間の経過とともに喪失を歌った音楽も必要になると思います。震災に限らず私たちは普通に傷つき普通に笑って生きているわけで、夢を叶え、終わらせながら生きているわけで、一つの結末から日常へ至る、悲しみや怒りなどの言葉では割り切れない感情が過ぎ去る作用を持つ曲だと思います。

君にまつわるミステリー
アニメ「氷菓」の後期エンディング曲です。作詞は後期オープニングの主題歌「未完成ストライド」を歌うこだまさおり、作曲・編曲は音楽制作会社ロデオドライブ所属の高田暁が担当しています。声優を務める佐藤聡美と茅野愛衣が歌っています。自分は佐藤聡美さんが好きなので、彼女がいい曲を歌っているだけでうれしいです。
作曲家の高田暁さんは音大在学中に現在EGO-WRAPPIN'のバックバンドTHE GOSSIP OF JAXXでピアノを担当している幡谷哲也さんと出会いジャズに転向した経緯があります。しかし現在、彼は様々なアニメ主題歌を手掛けています。僕はジャズは少ししか聴かないけど、少なくてもこの曲からはジャズ的な要素は感じません。ただ曲の構造の強固さを感じました。遊びの要素が一切ないほど、忠実に構造的にJ-POPの基本を厳守していると思います。音楽を知るプロの音楽職人の仕事だと思います。
タルトタタン - テトラッド(生産限定盤)
相対性理論を脱退した真部・西浦の作曲ユニット、アゼル&バイジャンがサウンドプロデュースを手掛ける女性2人組ユニット、タルトタタンの曲です。やくしまるえつこ色の強くなった相対性理論の後期作品では聴けなかった真部のポップセンスが炸裂しています。正直、相対性理論では満喫できなかったのでうれしいです。
「あなたは私を私のようには愛せない/でもしょうがない」というしょうもないフレーズにも関わらず、これがどうしようもなく核心を突いてるのが凄いです。それを経験値の少ないデビューしたての2人組の女の子に歌わせるところに「Perfume以降」もしくは「やくしまるえつこ以降」を感じます。ライブでは凄腕のミュージシャンを携えたバンドスタイルで、90年代のPUFFYを彷佛させるものの、事務所が弱小なせいか売り出す勢いを感じさせないところが、「自分だけ知っていたい」というファンの心を妙にくすぐります。バックバンドに田淵ひさ子、田中貴、ナガイケジョー、大村達身を交代で起用しているのも憎いです。二人とも好きだけど、今は有井優ラブです(※でもこのCDには未参加)。
きゃりーぱみゅぱみゅ - ファッションモンスター(通常盤)
きゃりーぱみゅぱみゅの3rdシングルです。1stアルバム『ぱみゅぱみゅレボリューション』がヒットして、その勢いを維持したまま放たれた最高のシングルのだと思います。Perfumeがアルバム『GAME』でブレイクしたあとの『Dream Fighter』に現象的に似ていて、中田ヤスタカは案外親心のある作曲家なのだと思いました。
「このせまいこころの檻もこわして自由になりたいの」という中年ですらが泣きそうなフレーズを絡めながら、そこに嘘くささが一切ないのは中田ヤスタカが全盛期の小室哲哉並みに漲っているからだと思います。
ひかりふる(初回生産限定盤A)(DVD付)
アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」のエンディング曲「Magia」が劇場版用にリアレンジされたバージョン違いの曲です。作詞・作曲・編曲は梶浦由記が担当しています。今回タイトルに付与された[quattro]は「Kalafinaの3人の声+(アレンジで足された)弦」という意味です。
ハードロックでありながらどこかオリエンタルな要素を感じました。日本のハードロックの代表格はX JAPANやLUNA SEAが挙げられるけど、メタル・ハードロック直系の彼らよりも、むしろ「花葬」や「forbidden lover」の頃のラルクのようなゴス的な印象が強いです。当然アニメ音楽だからバンドに拘らず、プロのミュージシャンを使っているので非常に完成度が高いです。この曲がTVシリーズで毎週主人公のまどかが残酷な真実を知った瞬間流されるのを見るのが快感でした。オリジナルのアレンジも好きですが、この間劇場版を観に行ったけど、正直焼き直しの映像より曲の方が100倍よかったです。
GREAT3
8年ぶりに活動再開したGREAT3のアルバム「GREAT3」に収録された曲です。タワレコ限定シングルとしても発売されました。作詞は片寄明人、作曲は白根賢一が担当しています。自分は元々GREAT3の音楽を聴いてきたわけではなく、それまではLOVE PSYCHEDELICOやCoccoの後ろで弾いてる白根賢一と高桑圭が在籍していたバンドということで注目はしていたのですが、今年のライジングサンも「Perfumeのあとで移動がしんどい」という理由でGREAT3のライブを観ませんでした。そんな自分が一気に打ち抜かれたのが今回の「彼岸」です。
魂から絞り出したかのような歌詞が強烈です。twitterで片寄明人さんがこの曲に関するエピソードを呟いているのを見て、何かを持ってる曲だと思いました。
SQUARE ONE(DVD付)
m-floが5年ぶりにリリースした6thアルバム『SQUARE ONE』収録の1曲です。PVも制作されています。作詞・作曲にはm-floにくわえて、CREAMのMinamiとStaxx Tが参加しています。アルバムの性質上、女性ボーカリストについては公表されていないけど、おそらくMINAMIが担当なのがファンの間の暗黙の了解です。
低音が強くなり、全体的に音がソリッドになったのはm-floのみならず、現在のクラブ音楽、ハウス全体の風潮だと思います。大沢伸一や中田ヤスタカがその代表例で、アレンジ的には無難な印象を受けました。ただそれを寂しさや切なさを演出するために用いたのは新しいです。全体的には以前のlovesシリーズよりもコンセプト感の強いアルバムになったけど、2NE1を迎えた(と言われている)「She’s So (Outta Control)」や難波章浩を迎えた(と勝手に公表されちゃった)「Don’t Stop Me Now」などシングルになってもおかしくない曲が揃っているのが流石です。
Sun shower
木村カエラの19枚目のシングル曲です。作詞は木村カエラ、作曲・プロデュースをクラムボンのミトが担当しています。前のアルバム「8EIGHT8」では全曲ASPARAGUSの渡邊忍がプロデュースしていたのに対し、この曲が収録されたアルバム『Sync』では楽曲ごとに異なるプロデューサーを起用しています。この曲を担当したミトは、過去に「Circle」の作曲を提供しています。
ストリングス、アコギ、マンドリン、鍵盤が印象的なミディアムナンバーです。ライブでの再現は難しそうだけど、こういう木村カエラの音楽が聴きたかったと思いました。彼女は本当に声が素晴らしいです。キャッチーじゃなくタイアップもつかなかったのでチャートの動きが過去最低だったけど、それでも名曲です。

猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
ももいろクローバーZの7thシングルです。作詞・作曲は前山田健一で、マーティ・フリードマンがギターで参加しています。今更知ったのですが、アニメ『モーレツ宇宙海賊』のオープニング曲で、だからジャケットが海賊のコスプレで、歌詞でも「モーレツ」を連呼してるのですね。腑に落ちました。
合唱のようなコーラスとマーティのギターからQueen的なハードロック曲だと思ったのですが、よく聴くとサビは打ち込みだし、アニメ音楽的なメロディーが強くなかなか手強いです。多分、前山田健一さんはバンド的とかJ-POP的、アニメ的ということにあまり意識しないで曲を作り、果てにはマーティ・フリードマンが参加とかなり悪ノリしてたのだと思いました。ももクロの音楽と言えば前山田健一という印象が強いけど、その後のシングルはやくしまるえつこ、布袋寅泰が提供するなど、ある程度作家のイメージを固定しつつ、集中させすぎないのがうまいと思います。
以上、2012年のベスト10曲でした。まとめるとこんな感じになります。
「2012 私的ベストアルバム 10枚篇」に続きます。
ちなみに2011年、2010年のベスト10曲はこんな感じです。
2011年ついでなので2009年、2008年も書いておきます。
1. 放課後ティータイム「いちばんいっぱい」
2. やくしまるえつこメトロオーケストラ「少年よ我に帰れ」
3. ランカ・リー=中島愛「放課後オーバーフロウ」
4. サカナクション「ルーキー」
5. 岡村靖幸「だいすき」(album『エチケット(パープルジャケット)』収録)
6. L'Arc〜en〜Ciel「X X X」
7. Perfume「GLITTER」
8. GRAPEVINE「風の歌」
9. 鬼束ちひろ「夢かも知れない」
10. Lady Gaga「The Edge Of Glory」
2010年
1. くるり「魔法のじゅうたん」
2. the HIATUS「Insomnia」(album「ANOMALY」収録)
3. サカナクション「目が明く藍色」
4. 相対性理論 + 渋谷慶一郎「スカイライダーズ」
5. 放課後ティータイム「GO!GO!MANIAC」
6. Mr.Children「擬態」
7. Cocco「ニライカナイ」
8. まつきあゆむ「ヘッドフォンリスナーズサイクリングクラブ」(album「AGAIN」収録)
9. YUKI「うれしくって抱き合うよ」
10. フジファブリック「夜明けのBEAT」
2009年話は逸れますが、2011年と2010年のベスト10曲を掲載したのはレジーのブログさんの記事のパクリです。いつも楽しみにしています。
1. クラムボン feat. THA BLUE HERB「あかり from HERE ~No Music, No Life~」
2. 椎名林檎「ありあまる富」
3. 木村カエラ「どこ」
4. 清竜人「ヘルプミーヘルプミーヘルプミー」
5. 鬼束ちひろ「VENUS」
6. U2「No Line On The Horizon」
7. the HIATUS「Insomnia」
8. Friendly Fires「Paris」
9. ASIAN KUNG-FU GENERATION「新世紀のラブソング」
10. Dirty Projectors「Cannibal Resource」
2008
1. Mr.Children「GIFT」
2. エレファントカシマシ「桜の花、舞い上がる道を」
3. The Ting Tings「Grate DJ」
4. 凛として時雨「Telecastic fake show」
5. 相対性理論「LOVEずっきゅん」
6. ZAZEN BOYS「Sabaku」
7. くるり「WORLD'S END SUPERNOVA」(album「Philharmonic or die」収録)
8. 宇多田ヒカル「テイク5」
9. Syrup16g「さくら」
10. 絢香「今夜も星に抱かれて・・・」
というわけで2012年の私的ベスト10曲です。
1. 宇多田ヒカル「桜流し」

桜流し [DVD]
活動休止中の宇多田ヒカルが「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」の主題歌として書き下ろした曲です。震災以降はじめてのリリースということから、彼女が震災について書いた曲だと言われています。僕自身は最初聴いた時特にこれが震災を契機として生まれた曲だとは思いませんでした。彼女は以前から「テイク 5」のような絶望と希望の先の気持ちを描いた曲を書いていたからです。
彼女がシーンから姿を消して2年、寂しいといえば寂しいけれど、最近のアーティストは2年くらいざらに休むのでそれほど長いとも思いませんでした。だけどこの曲を聴いた瞬間、どうしようもなく彼女の音楽を渇望していた自分に気づきました。活動休止前、彼女はアルバムという単位で作品を作らず、ベストアルバムで未発表曲をリリースしました。それらは1曲が1枚のアルバムのような濃い曲でした。「桜流し」も同様に、1曲でアルバム1枚分のエネルギーを注いだような、スケールの大きく濃い曲だと思います。彼女はtwitterではエヴァの内容に関わらない作曲を依頼されたこと、そして1年以上制作に時間がかかったことを呟いています。
去年の9月に作り始めて完成したのが今年の9月です。一年かかっちゃった(∩´(エ)`∩) RT @babibubebobdehi: いつから曲作り始めたんですか?
— 宇多田ヒカルさん (@utadahikaru) 11月 18, 2012
「映画の展開には沿わず、今宇多田さんが思うこと、感じていることを歌にしてほしい」というのが庵野監督の希望だったのでストーリーをほぼ知らないまま「桜流し」を作りました(・(ェ)・) RT @meeeet: 宇多田さんは内容知らないのです?
— 宇多田ヒカルさん (@utadahikaru) 11月 22, 2012
本当に優れた音楽家が時間をかけて作った傑作だと思います。今年聴いた音楽の中で一番心に染みました。
2. GRAPEVINE「RAKUEN」

MISOGI EP(通常盤)
今年発売されたGRAPEVINEの3枚目のミニアルバム『MISOGI EP』収録の曲です。前作『真昼のストレンジランド』から1年1ヶ月ぶりにリリースされました。作詞は田中和将、作曲は亀井亨が担当しています。今作ではユニコーンのプロデューサーを務めている河合誠一マイケルがプロデュースを担当しています。
もしかしたらこの曲は震災のことを歌ったのかもしれないと、今更思いました。もしそうだとすれば、この歌は震災に対して希望や愛を歌っているものではなく、まるで遠い世界の出来事のように歌っているのだと思います。もし自分が実際に震災に遭遇したら、最初は違うかもしれないけど、時間の経過とともに喪失を歌った音楽も必要になると思います。震災に限らず私たちは普通に傷つき普通に笑って生きているわけで、夢を叶え、終わらせながら生きているわけで、一つの結末から日常へ至る、悲しみや怒りなどの言葉では割り切れない感情が過ぎ去る作用を持つ曲だと思います。
3. 千反田える (佐藤聡美) & 伊原摩耶花 (茅野愛衣)「君にまつわるミステリー」

君にまつわるミステリー
アニメ「氷菓」の後期エンディング曲です。作詞は後期オープニングの主題歌「未完成ストライド」を歌うこだまさおり、作曲・編曲は音楽制作会社ロデオドライブ所属の高田暁が担当しています。声優を務める佐藤聡美と茅野愛衣が歌っています。自分は佐藤聡美さんが好きなので、彼女がいい曲を歌っているだけでうれしいです。
作曲家の高田暁さんは音大在学中に現在EGO-WRAPPIN'のバックバンドTHE GOSSIP OF JAXXでピアノを担当している幡谷哲也さんと出会いジャズに転向した経緯があります。しかし現在、彼は様々なアニメ主題歌を手掛けています。僕はジャズは少ししか聴かないけど、少なくてもこの曲からはジャズ的な要素は感じません。ただ曲の構造の強固さを感じました。遊びの要素が一切ないほど、忠実に構造的にJ-POPの基本を厳守していると思います。音楽を知るプロの音楽職人の仕事だと思います。
4. タルトタタン「しょうがないマイラブ」

タルトタタン - テトラッド(生産限定盤)
相対性理論を脱退した真部・西浦の作曲ユニット、アゼル&バイジャンがサウンドプロデュースを手掛ける女性2人組ユニット、タルトタタンの曲です。やくしまるえつこ色の強くなった相対性理論の後期作品では聴けなかった真部のポップセンスが炸裂しています。正直、相対性理論では満喫できなかったのでうれしいです。
「あなたは私を私のようには愛せない/でもしょうがない」というしょうもないフレーズにも関わらず、これがどうしようもなく核心を突いてるのが凄いです。それを経験値の少ないデビューしたての2人組の女の子に歌わせるところに「Perfume以降」もしくは「やくしまるえつこ以降」を感じます。ライブでは凄腕のミュージシャンを携えたバンドスタイルで、90年代のPUFFYを彷佛させるものの、事務所が弱小なせいか売り出す勢いを感じさせないところが、「自分だけ知っていたい」というファンの心を妙にくすぐります。バックバンドに田淵ひさ子、田中貴、ナガイケジョー、大村達身を交代で起用しているのも憎いです。二人とも好きだけど、今は有井優ラブです(※でもこのCDには未参加)。
5. きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」

きゃりーぱみゅぱみゅ - ファッションモンスター(通常盤)
きゃりーぱみゅぱみゅの3rdシングルです。1stアルバム『ぱみゅぱみゅレボリューション』がヒットして、その勢いを維持したまま放たれた最高のシングルのだと思います。Perfumeがアルバム『GAME』でブレイクしたあとの『Dream Fighter』に現象的に似ていて、中田ヤスタカは案外親心のある作曲家なのだと思いました。
「このせまいこころの檻もこわして自由になりたいの」という中年ですらが泣きそうなフレーズを絡めながら、そこに嘘くささが一切ないのは中田ヤスタカが全盛期の小室哲哉並みに漲っているからだと思います。
6. Kalafina「Magia[quattro]」

ひかりふる(初回生産限定盤A)(DVD付)
アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」のエンディング曲「Magia」が劇場版用にリアレンジされたバージョン違いの曲です。作詞・作曲・編曲は梶浦由記が担当しています。今回タイトルに付与された[quattro]は「Kalafinaの3人の声+(アレンジで足された)弦」という意味です。
ハードロックでありながらどこかオリエンタルな要素を感じました。日本のハードロックの代表格はX JAPANやLUNA SEAが挙げられるけど、メタル・ハードロック直系の彼らよりも、むしろ「花葬」や「forbidden lover」の頃のラルクのようなゴス的な印象が強いです。当然アニメ音楽だからバンドに拘らず、プロのミュージシャンを使っているので非常に完成度が高いです。この曲がTVシリーズで毎週主人公のまどかが残酷な真実を知った瞬間流されるのを見るのが快感でした。オリジナルのアレンジも好きですが、この間劇場版を観に行ったけど、正直焼き直しの映像より曲の方が100倍よかったです。
7. GREAT3「彼岸」

GREAT3
8年ぶりに活動再開したGREAT3のアルバム「GREAT3」に収録された曲です。タワレコ限定シングルとしても発売されました。作詞は片寄明人、作曲は白根賢一が担当しています。自分は元々GREAT3の音楽を聴いてきたわけではなく、それまではLOVE PSYCHEDELICOやCoccoの後ろで弾いてる白根賢一と高桑圭が在籍していたバンドということで注目はしていたのですが、今年のライジングサンも「Perfumeのあとで移動がしんどい」という理由でGREAT3のライブを観ませんでした。そんな自分が一気に打ち抜かれたのが今回の「彼岸」です。
魂から絞り出したかのような歌詞が強烈です。twitterで片寄明人さんがこの曲に関するエピソードを呟いているのを見て、何かを持ってる曲だと思いました。
8. m-flo「All I Wants Is You」

SQUARE ONE(DVD付)
m-floが5年ぶりにリリースした6thアルバム『SQUARE ONE』収録の1曲です。PVも制作されています。作詞・作曲にはm-floにくわえて、CREAMのMinamiとStaxx Tが参加しています。アルバムの性質上、女性ボーカリストについては公表されていないけど、おそらくMINAMIが担当なのがファンの間の暗黙の了解です。
低音が強くなり、全体的に音がソリッドになったのはm-floのみならず、現在のクラブ音楽、ハウス全体の風潮だと思います。大沢伸一や中田ヤスタカがその代表例で、アレンジ的には無難な印象を受けました。ただそれを寂しさや切なさを演出するために用いたのは新しいです。全体的には以前のlovesシリーズよりもコンセプト感の強いアルバムになったけど、2NE1を迎えた(と言われている)「She’s So (Outta Control)」や難波章浩を迎えた(と勝手に公表されちゃった)「Don’t Stop Me Now」などシングルになってもおかしくない曲が揃っているのが流石です。
9. 木村カエラ「Sun Shower」

Sun shower
木村カエラの19枚目のシングル曲です。作詞は木村カエラ、作曲・プロデュースをクラムボンのミトが担当しています。前のアルバム「8EIGHT8」では全曲ASPARAGUSの渡邊忍がプロデュースしていたのに対し、この曲が収録されたアルバム『Sync』では楽曲ごとに異なるプロデューサーを起用しています。この曲を担当したミトは、過去に「Circle」の作曲を提供しています。
ストリングス、アコギ、マンドリン、鍵盤が印象的なミディアムナンバーです。ライブでの再現は難しそうだけど、こういう木村カエラの音楽が聴きたかったと思いました。彼女は本当に声が素晴らしいです。キャッチーじゃなくタイアップもつかなかったのでチャートの動きが過去最低だったけど、それでも名曲です。
10. ももいろクローバーZ「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」」

猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
ももいろクローバーZの7thシングルです。作詞・作曲は前山田健一で、マーティ・フリードマンがギターで参加しています。今更知ったのですが、アニメ『モーレツ宇宙海賊』のオープニング曲で、だからジャケットが海賊のコスプレで、歌詞でも「モーレツ」を連呼してるのですね。腑に落ちました。
合唱のようなコーラスとマーティのギターからQueen的なハードロック曲だと思ったのですが、よく聴くとサビは打ち込みだし、アニメ音楽的なメロディーが強くなかなか手強いです。多分、前山田健一さんはバンド的とかJ-POP的、アニメ的ということにあまり意識しないで曲を作り、果てにはマーティ・フリードマンが参加とかなり悪ノリしてたのだと思いました。ももクロの音楽と言えば前山田健一という印象が強いけど、その後のシングルはやくしまるえつこ、布袋寅泰が提供するなど、ある程度作家のイメージを固定しつつ、集中させすぎないのがうまいと思います。
以上、2012年のベスト10曲でした。まとめるとこんな感じになります。
1. 宇多田ヒカル「桜流し」あとベスト10曲に入らなかったけどよく聴いていた曲はこんな感じです。
2. GRAPEVINE「RAKUEN」
3. 千反田える (佐藤聡美) & 伊原摩耶花 (茅野愛衣)「君にまつわるミステリー」
4. タルトタタン「しょうがないマイラブ」
5. きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」
6. Kalafina「Magia[quattro]」
7. GREAT3「彼岸」
8. m-flo「All I Want Is You」
9. 木村カエラ「Sun Shower」
10. ももいろクローバーZ「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」」
ユニコーン「Feel So Moon」以前よりもロックを聴かなくなり、代わりにアニメ音楽の比率が少しずつ増えています。あと今年は洋楽はアルバムを通しては結構聴いたのですけど、印象的な曲が少なかったです。来年はジャンルに拘らず(できればもっと広げる方向で)色んな音楽を聴きたいと思います。
椎名林檎「自由へ道連れ」
group_inou「JUDGE」
踊ってばかりの国「話はない」
Claris「ルミナス」
サカナクション「夜の踊り子」
POST MODERN TEAM「heartbreak」
「2012 私的ベストアルバム 10枚篇」に続きます。
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