
1987年に公開された伊丹十三が監督・脚本を務めた作品です。先日、ほぼ日刊イトイ新聞に掲載された糸井重里と「モテキ」の監督・大根仁の対談(※1)を読んでいたら大根さんが伊丹監督の手法について言及していたので興味を持ちました。
言ってしまえば、おっぱい映画です。噓です。でも正直、最初の場面で入院中の死にそうな爺さんが看護婦さんおっぱいにしゃぶり付いているシーンにはさすがに目が釘付けになりました。エロいというよりも「これを映像化するか!」という驚きが大きかったです。本当にびっくりしました。
この作品がマルサ(国税局査察部)という社会的なテーマを扱いながら娯楽作品に仕上がっているのは、ラブホテル経営者の山崎努が最大の敵役を務めているからだと思います。なにせ山崎努には奥さんがいて、愛人がいて、そのまた次の愛人がいるわけで。しかも濡れ場の最中に「お前のベッドカバーの色いいな」とか言い出すような仕事熱心でもあるわけで。困ったことに税務署員役の宮本信子に目の前で脱税の方法の検証をお願いするほど腹が据わった偽悪的な人物にもかかわらず、子供が学校で大金を稼ぐのを見つけると、混乱し叱りつける一面を見せます。これには困りました。『ダークナイト』に登場するジョーカーが子煩悩だったりするようなわけで。とても魅力的な悪役でした。
こういう社会的な題材を扱いながら、きちんと娯楽作品として仕上げ、さらに構図や音楽など細部でも唸らせる仕事ぶりは凄かったです。伊丹十三って凄い。(★8)
※1 http://www.1101.com/moteki_movie/2011-10-06.html
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