
ディスコ探偵水曜日〈上〉
ディスコ探偵水曜日〈下〉
荒木飛呂彦の執筆30周年、「ジョジョの奇妙な冒険」の連載25周年の記念企画の第三弾として発表された作品「JORGE JOESTER -ジョージ・ジョースター-」や、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』と同時公開された『巨神兵東京に現わる 劇場版』の言語を担当したことから舞城王太郎の名前を知りました。なんとなくおもしろそうだなーと思いこの「ディスコ探偵水曜日」を手に取ったのですが、結果から言えばひどい目にあったとしか言いようがない作品でした。
おもしろかったです。でもひたすらわけが分からなかったです。
とりあえず僕はSF小説の歴史や探偵小説の歴史に関しては疎いのでその辺は全然読み込んでいないのですが、なんとなくその分野の歴史に対する皮肉やカウンター精神をふんだんに盛り込んだ作品だと言うことはわかりました。大まかな流れだけを掴みながら読んだのですが、それでも十分おもしろいし、困ったことに「読むが辛いなー」と思いはじめた頃に超ど級の展開が待ち構えているのが凄かったです。途中でやめようという気にならないのです。そういう作品だったからこそ最後まで読んだのだと思います。
それらの要素を除けば、僕にとっては村上春樹の『ダンスダンスダンス』や『ねじ巻き鳥クロニクル』のような作品だったように思えます。つまり一見関係ない事実や言葉が繋がっているような『ダンスダンスダンス』で存在した運命的性質と、井戸の底に何時間も過ごしていたら現実と精神の世界の壁が融解した『ねじ巻き鳥クロニクル』のようなご都合的フィクションの性質が、今っぽく展開されているなあと思いました。だから村上春樹のファンの自分にとって、細部はともかく大筋に関しては楽しめました。
とにかくろくでもない結末が待っていることは最初の数ページで想像できたのですが、そこに向かうまでの展開が超ど級で、どこかハマる部分があれば最後まで読んでしまうタイプの作品だと思います。ですが苦手な人は最後まで苦手だと思います。とにかくヘトヘトになって、何かを得た気持ちには一切なれなかったので、これこそ究極の暇つぶしだと思いました。(★6)
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