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 問題作です。コアなファンの間では完全に賛否が分かれると思います。メジャーデビューということでみんな割り切って考えていたけど、素直にいいと言えるのは「気持ち悪りぃ」と「うるせー」「Fuck You Very Much」の3曲だけです。残りはバラード2曲を除いてダークなリフが特徴的なシリアスな曲がメインでエモっぽいです。別にエモでも何でもいいですけど、確かにアクモンだってライブでノリに乗っているときはカッコいいを通り越して色気まで出てきて片足エモにつっこんでいるような瞬間があるような気もするけど、むしろこれはBUMP OF CHICKENでありRADWIMPSでありONE OK ROCKでありELLEGARDENの音楽かと。というわけで「またEMIがロックバンドをJ-ROCKバンドにしてくれたよ!」って感じです。

 海外のロック、特にUK色の強いものがロックにおける絶対的な正義だとは言わないし、日本は日本でエモっぽいシリアスなロックをやってもいいけど、せっかくミイラズは「気持ち悪りぃ」のようなみんなで歌えるガレージロックが作れるのだから、乾いたロックのノリを日本に浸透させて欲しいです。つくづくこの国は嫌になるくらい湿気に溢れています。ただそう思う一方で「S.T.A.Y.」を聴いた時は高校生みたいに一人で盛り上がっていました。歌っていることがミスチル的で、音の重ね方がRADWIMPSっぽい感じです。

 でもやっぱり前作で解散しておけばよかったんじゃないかな。ニヒリズムからはじまった畠山の物語は「言いたいことがなくなった」という老夫婦が到達するような究極のラブソングで完結。あそこで終わればとてもきれいだった。中途半端なブレイクで終わらせないための決意は伝わってきたのですが、この方向性は苦手です。やっぱり現時点でのミイラズのベストは3thの『NECESSARY EVIL』か6thの『言いたいことはなくなった』だと思います。最近は6thをよく聴きます。(★4.8)