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Amok

 2006年、Thom Yorkeはソロアルバム『The Eraser』をリリースしました。RADIOHEADとは異なるミニマルな路線の音楽で、ソロでこういう音楽をやる理由は明白でした。2007年、レコード会社と縁を切ったRADIOHEADがアルバム『In Rainbows』が突如価格自由制ダウンロード販売に参入し世間を騒がせました。アルバム自体も最高傑作、もしくは2度目のブレイクを果たすに相応しいほどの出来でした。本当に素晴らしく、真夜中に僕は何度も聴いていました。

 そして2009年、この頃になってThom Yorkeはソロアルバムのツアーを乗り出しました。そこになぜかレッチリのFleaが参加。2010年のフジロックは新バンドAtoms For Peaceとして参加し、その神がかったライブに参加者は心臓が飛び出るくらい驚きました。その後、RADIOHEADが始動し、2011年にアルバム『The King of Limbs』をリリース。『In Rainbows』の路線を継続すると思いきや、よりシャープでミニマムな仕上がり具合に戸惑う人が続出するも、「これはミニアルバムだから」と自分に言い聞かせることで納得していました。「まあ次への繫ぎだよね」と。その翌年である2012年にRADIOHEADは待望のフジロック出演を果たし、レディへライブ最強説を揺るがないものにしました。

 この流れから見て、今回の時期のAtoms For Peace再始動は予想の範囲内でした。熱心なファンはうれしかったし、ただの一ロックファンとしても「トム、よく働くな。うれしい」という感じで見守っていました。

 でもまさかのAtoms For Peaceの初の音源がThom Yorkeソロ路線の継続、『The King of Limbs』路線の継続という事態になるとは・・・



 「Ingenue」をPVを見ればわかるけど、Thomはここで奇妙なタコ踊りを披露しています。このような音楽で踊れる変態性についてはともかく、RADIOHEADの「Lotus Flower」に続いてタコ踊りPVを作るところは果てしなく素敵です。確かにAtoms For Peaceについて丁寧に音源を聴き込むと、RADIOHEADよりもどことなく音が跳ねる印象が強く、そこにFlea参加の意義を見出せるのですが、要は僕が見たかったのは2010年のフジロックのような神がかった音源なわけです。



 というわけで、もうライブが良いのは決まっています。確定事項です。揺るぎません。だからファンにとって今回フジロック参戦が最大の焦点でした。そしてDEAD AIR SPACEで発表されたスケジュールがこれです。

The July 2013 dates are:
Friday 26th: UK - London Roundhouse

 26日ロンドン、そこから28日フジロック3日目があるか?微妙だな・・・という感じに収束しそうです。なにせ前回はフジロック前に横浜ブリッツ3日間借り切ってリハしたお方なので。

 アルバム先行販売というのが日本に対するトムの最後の愛情だったのかなーと思いつつ、やっぱりアルバム良くないよね?って思います。爆発感が乏しく、全体的に単調な印象です。ライブのベースがこれになることを考えると彼らなりの最適解なのかもしれませんが。「全曲視聴→ばいなら」のパターンになりました。(★4.5)


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Atoms For Peace

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