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ザ・ネクスト・デイ デラックス・エディション(完全生産限定盤)

 David Bowieを聴くのはほとんどはじめてです。80年代生まれですし。『ジギー・スターダスト』を何度か聴いたことはあるけど、「Five Years」が好きな程度です。そんな御大が10年ぶりのアルバムリリースを発表し「Where Are We Now?」を聴いた時は、哀愁と歌い手の若さに痺れたのを覚えています。あとこうやって大スターが表舞台に復帰するのは、ツアー発表後の急逝したMichael Jackson以来で少しワクワクします。MJの時は結果的に悲しいことになったけど、ボウイの場合は次の作品やツアーとかいろいろ妄想が膨らむわけで。

 そういうわけで、リリース前からアルバムを楽しみにしていたのですが、まさか発売前にiTunes Storeで全曲視聴できる事態になるのは想定外でした。太っ腹すぎ。購入前に5回くらい聴いてそれで済まそうと思っていたのに買ってしまいました。まんまと引っかかってしまいました。



 はじめてリアルタイムで聴いたDavid Bowieはかっこよかったです。

 ロック的に最先端とか技術的に凄いとか、そういうことは無いです。この声の枯れ具合とか雰囲気、そして佇まいが本当に唯一無二です。この人の歌い方の特徴だと思うのですが、少し声を残す感じが印象的です。適度に大袈裟に聴こえるのがかっこいいですね。「The Stars (Are Out Tonight)」や「If You Can See Me」のような曲だと狂った感じに聴こえるのも最高です。66歳という年齢にもかかわらず復帰作なのにギア全開な時点で驚きなのに、曲も演奏も全然落ち着きがないどころか、完全に心の中がカオスってるところが最高です。あとバンドも素晴らしいですね。

 こういうことを思うのは邦楽ファンだけなのかもしれませんが、iTSで過去の作品のジャケットの一覧を見ていると本当に吉井和哉に似ていて驚きます。時系列的に言うと吉井和哉がDavid Bowieに似ているのですし、音楽も異なるのですが、ロッキング・オンのDavid Bowie推しを見ていると、山崎洋一郎は吉井和哉を日本のDavid Bowieにしたかったのかもしれないと思いました。

 実際、吉井和哉はDavid Bowieのファンだけど、David Bowieだって誰かの音楽を聴いて育ったのだし、そのつながりはどこまでも続いているわけで、別に誰かを責めたいわけではないです。吉井和哉を経由した上でDavid Bowieを聴くのは、ある意味フェイク→オリジナルの流れですけど、それはそれで格別でした。変な聴き方をしてることはわかっているんですけどね。

 乾いた音を鳴らしながらどうしても曲に情念を込めてしまう感じが吉井和哉と共通している気がします。でも何倍もバンドの演奏が素晴らしく、そして未だに彼の先にいる人なのだと思いました。凄いです。体験できてよかった。(★8.2)


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デヴィッド・ボウイ

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