H-SI-7samurai01

★10

超おもしろかったです。全然古くないことに驚きました。

話し方、喋り方が非常に現代的で、つまり演技的に古くさくなかったです。954年に公開で、時代設定は1586年。時代考証がしっかりしているせいか、公開から50年経っても一切古びていないです。ただあまりに芝居の要素を排除しているせいか、台詞が聴き取りにくくて字幕をつけて見ていました。

この映画で侍の本当の役割を知りました。つまり侍は刀で悪人を斬りまくるという英雄ではなく、明らかに軍事に精通した専門家だということです。剣術的に優れた人もいたけど、基本的には戦争のプロフェッショナルです。村の周囲の地形を知った上で最低限必要な人員を割り出し、防備等の環境を整えた上で、兵士となる村人には無理なことをさせない。つまり戦術的に可能なことを積み重ねる。不確定要素を減らすのがプロなのです。

そんなリアリティ溢れる侍の描写の中で、唯一のフィクションっぽかったのが侍のリーダー格になる志村喬が演じる島田勘兵衛だと思います。戦争を知り尽くしているにもかかわらず、百姓の泣き落としに応じたのが唯一解せない点でした。でもこれは物語上仕方ないかもしれませんが。そして村に平和が訪れた時から百姓が手のひらを返したように侍を見限る場面は、あまりに凄すぎて痺れました。

黒澤明って本当に凄かったんですね。今更だけどそのことを知れてよかったです。