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★6

語るのが難しい作品なんですよ。決して難解な話ではないし、むしろ誰にでも楽しめるように作られているけど、この作品を観た人が何を感じたか、もしくは制作側がどういう意図を持って作ったのか、きっと言葉にしにくいと思います。夫婦に「相手のどういうところが好き?」と尋ねるような難しさを感じます。

良い悪いで言えば、確実に良かったです。毎週楽しみにしていました。でも同じ製作陣で作られた「けいおん!」と比べて、手放しで賞賛できるほどの作品でもないです。にもかかわらず毎週、この作品について誰かと話したくなるし、ネットの反応が気になる作品でした。話によって賞賛批判に分かれつつ、どの話にも支持する人がいたのが印象的でした。

ツッコミどころは山ほどあって、例えば「こんな和気あいあいとした商店街はもう存在しない」とか「王子なんていてたまるか!」とか「そもそも喋る鳥でメカってなんだ!!」とか色々あるし、さらに細かいところを言うと「なんで花屋の声が男なんだ!!」とか「たまこの母親って結局死んだの?」とか「オフィシャルサイトに載っていない商店街の女の子は誰?」とか色々あるのですが、そこを放置したのは最高としか言いようがありません。伏線の無駄遣いという贅沢を堪能しました。そういう細かい部分を敢えて公開しないところに、この作品の奥深さがあると思います。

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ふんだんにネタが散りばめている一方で、自分はどういうふうに楽しめばいいのかがよくわかりませんでした。そもそも自分は「けいおん!」のように物語性が希薄で、むしろ世界観や空気感を楽しむ作品を期待していました。それが山田尚子監督が既存のアニメに対して放つことができる最高のカウンターだと思うのですが、今回の「たまこまーけっと」はそれすら避けた感じがします。つまり空気感を大切にしつつ、「けいおん!」よりも物語っぽい事を展開させたのが今回の「たまこまーけっと」だったのだと思います。

その物語性の役割を担ったのが史織やみどりであり、あんこやチョイでした。史織は勇気を振り絞ってたまこの友達になり、みどりは友情とも恋心ともつかない気持ちに四苦八苦し、あんこは同級生に恋をして、そしてチョイはたまこを振り回しました。

だけど主人公のたまこは結果的に変わらなかった。周囲が自分たちの気持ちに振り回されるけど、たまこは揺るがない。その構造自体は良かったのですが、物語的な展開の部分でいちいちドキドキし過ぎて死にそうになりました。

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安らぎや穏やかな空気感を求める人にとってはドキドキし過ぎの作品で、逆に恋愛のドラマ性を求める人にとっては中途半端に終わる危うさがありました。相反する2つの要素を強引に結びつけようとしたのが「たまこまーけっと」であり、山田尚子監督の挑戦だったのだと思います。

物語性と空気感の両立という観点に対する正直な評価は「うーん、微妙」です。40点くらい。でも細かい部分では楽しかったんですよ。そういう意味で非常に勿体ない作品だったと思います。とはいいつつ結局、毎週楽しみましたが。結末も気に入らないわりに泣きました。続編があるなら素直にうれしいです。ちなみに自分はかんなちゃん派です。ボケ至上主義万歳!