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あなたと見た夢 君のいない朝

 柴田淳が3月27日にリリースしたオリジナルアルバムとして9枚目のアルバムです。

はじめて聴いた

 個人的に柴田淳の音楽を聴いたのはほぼはじめてです。昔ブレイクした頃にCDTV等でPVを観た事はありますが、シングルを含めてまともに音源を聴いたことはありませんでした。乱暴な言い方だけど、彼女が音楽シーンに登場した2000年代初頭は女性シンガーソングライターが山ほどいて、彼女の音楽を聴かなくても個人的には足りていました。宇多田ヒカル、鬼束ちひろ、Cocco、そしてソングライターに限らなければ一青窈、中島美嘉などいろんな歌い手がいました。

 だから2013年に柴田淳のアルバムを聴くことになるとは思ってもいなかったのですが、twitterで音楽ライターの高橋智樹さんのツイートを見て興味を持ち、視聴しました。そしたらびっくりするくらい良かったのです。


シンガーソングライターなのに歌が破格

 単純に「歌がすごい」と思いました。歌唱力云々で言えば、演歌や歌謡曲の歌い手のように声を張り上げるようなタイプではないけど、声の一つ一つの音の細やかさと、そこから生まれる表現力が圧倒的でした。

 変な話ですが、シンガーソングライターの歌唱力は二の次だったのです。それよりも曲。特にメロディーとサビの展開が僕にとって一番大切でした。次がアレンジです。だから絶対的に優れたメロディーメイカーである宇多田ヒカルは僕の中で確固たる地位を気づいているし、鬼束ちひろやCoccoの曲については誰がアレンジを手掛けるかがかなり重要だったわけです。

 ですが、その方針を変えざる得ないほどに、柴田淳の歌はストレートに良かったです。「あなたの手」のサビの高音はあまりに良すぎて死にたくなるくらい色気があるというか、正直な話、このアルバムを聴いて「なんていい女なんだ」と思いました。普段「いい女」という言葉は使いたくないのですが、「可憐」とか「素敵」などのワードよりもしっくりきます。そんな音楽を聴いたのははじめてです。


歌を中心に据えたアレンジ

 それで「この歌を聴かせることをメインに据えるのは誰の入れ知恵だろう?」と思い、クレジットを確認したら羽毛田丈史と松浦晃久が大体半分ずつ編曲を担当していました。松浦晃久さんについては知らなかったのですが、調べてみたら復帰後の絢香の楽曲の編曲を担当している方のようです。そして羽毛田丈史さんはご存知!鬼束ちひろの活動停止前のプロデューサーです。

 「だから!」というわけではないのですが、そのことからピアノ伴奏、もしくはそれに弦を絡めたアレンジが多いのだと思いました。アレンジが歌の邪魔をしないのが印象的でした。

アルバムについて、それとフォトブックが気になる

 というわけで、このアルバムはかなり愛聴しています。「ノマド」「あなたの手」「雲海」「朝靄」「道」が好きです。中でも「朝靄」があまりに良すぎて、しかも歌詞の解釈次第ではかなり怖い歌であること、そして歌が壮絶なまでに美しすぎて聴くたびに震えます。

 自分は配信の方で衝動買いしてしまったのですが、オリジナルフォトブックという名の写真集付きの初回盤を見てみたいなーというか。いやいや写真集を見たところでアルバムの評価が変わるわけではないのですが、なんていうかもう既にAKBとかを全然否定できないというか、そんな感じです。今年の3、4月はあまりにチェックすべき作品のリリースが多すぎて今のところ全然買える気配がないのですが、ちゃんとメモを残しておこうと思います。「写真集が見たい!」ではなく、本当に手元に置いといても価値がある作品だと思うけど、やっぱり写真集見たい・・・(★7.9)


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柴田淳

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