はじめて吉井和哉のライブを観てきました。ソロになってからはほとんどの音源を聴いているし、DVDもいくつか観ています。THE YELLOW MONKEYは「球根」から聴いているので10年以上お世話になっているのですが、ようやく生で観れました。

 会場は旭川市民文化会館大ホール。お客の入りは8割くらい。「入ってねーな」というのが正直なところ。ベスト盤を出して一区切りついた印象もあるし、最近はヒットらしいヒット曲を出してないし、地方を回るツアーだからキツいだろうなーと思っていました。

 当然、俺のことだからチケット購入前にセットリストを調べていて、ということは既にツアーが始まってからでもチケットを買えたということなのですが、イエモンの曲をやってくれれば6800円の価値がそれなりに担保されると思ったんですよ。僕にとって6800円というチケットは高額な部類に入るので。だってアルバムなら2枚買えるし、映画ならレイトショーで5回は観れるわけだから。こんなのドームで観たミスチル以来です。あれはミスチルの演奏云々以前にドームにがっかりでしたけど。

 というわけで少し舐めてかかったのですが、凄かったです。

 バンドではないから当然かもしれないけど、ソロの曲は暗いんです。YOSHII LOVINSON時代の曲はまあわかりやすく暗かったので違和感無かったけど、近年の吉井和哉名義の曲も全然暗い。2007年のアルバム『Hummingbird In Forest Of Space』の頃は、既に金髪になったりしてロックスター的な吉井和哉を彼は取り戻していたけど、考えてみたら「シュレッダー」も「Winner」も「Shine And Eternity」も暗いんですよ。ソロとしての金字塔の『The Apples』も暗いし、この日演った「LOVE & PEACE」や「FLOWER」では光が差す感じがするけど、考えてみたら吉井さんが暗いからなんですよね。全然ポップじゃないです。

 にもかかわらず安心して聴けました。今の吉井和哉は明るいとか暗いの二元論では語れない安定感があります。普通にスキルが高いのです。歌も演奏も、そして照明や音響を含めたチームとしての総合力が桁違い。そしてベスト盤ツアーでもない時にイエモンの曲をやってしまうくらいサービス精神があるから、ベスト盤ツアーになるとそれはもう凄まじいレベルのライブになってしまうわけです。

 中盤のアコースティックコーナーではYOSHII LOVINSON時代の「Californian Rider」やOasisの「Don't Look Back In Anger」の日本語カバーをしたりダレるところが無かったです。そして一番盛り上がるところでイエモンの「LOVERS ON BACKSTREET」と「バラ色の日々」を投下したのがとても潔かった。でもその後の「WEEKENDER」がさらに盛り上がっていて、ソロでも全然成功していたことを今更知りました。

 個人的なピークは最後の「血潮」でした。アカペラで歌ったのですが、そのせいか歌のうまさが際立っていました。歌が普通にうまいロック歌手って少ないんですよね。イエモンありきの人だと舐めていたし、イエモンもそのうちやると思うけど、「イエモンやってよ!」と言うのはもうやめます。素晴らしかったです。売り切れてないなら今からでも行った方がいいと思うよ。

Set List
1. トブヨウニ
2. 点描のしくみ
3. I WANT YOU I NEED YOU
4. ゴージャス
5. CALL ME
6. 朝日楼~朝日のあたる家
7. シュレッダー
8. LOVE&PEACE
9. 雨雲
10. HATE
11. Californian Rider
12. Don't Look Back In Anger (Oasis cover)
13. 4000粒の恋の唄
14. Beautiful
15. BELIEVE
16. HEARTS
17. LOVERS ON BACKSTREET
18. バラ色の日々
19. WINNER
20. WEEKENDER
21. FLOWER
22. 血潮


18(初回限定盤)(DVD付)
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