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 前のエントリで書いたBUGY CRAXONEの新曲「いいかげんなBlue」について書いたのですが、そしたらどうして自分が前作『Joyful Joyful』が好きなのかをきちんと書いていないと思ったので、単に自分が書きたいので書くことにしました。

 このアルバムについては基本通して聴くのが好きなのですが、今回は特に好きな曲をピックアップして、それらについて書きます。


「ハレルヤ」




 わざわざ説明するのも野暮なのですが、ちょっとこの曲は卑怯だと思うんですよ。

 そもそもブージーは結構ハードなバンドでした。ガレージロックとパンクあたりの、シンプルにかっこいい系のロックというか。まあ正直、僕は当時聴いていなかったのでよく知らないのですが、いわゆるミッシェルとブランキーの時代のノリです。割と硬派なバンドですね。そんなバンドが歌詞が聴き取れるほどゆっくりした早さで、しかも優しさと光に満ちたようなポップな歌を歌うことは、よく言えば「成長」であり、悪く言えば「妥協」と解釈することができるんですよ。でもまあ、そこはわりとどうでもいいです。チバユウスケが「愛をぬりつぶせ」と歌う時代だからそのあたりはまあいいのです。

 そういう硬派なロッカーがいわゆる青春の時代を終えて、そしておそらく家庭を持つ人も出てくるだろうし、そうでなくても昔のように尖っていられない時期が来ろうし、そういう時に歌う歌もあるわけです。でもそういう歌はなかなか歌いにくいし届きにくいわけです。でもブージーは今までと違う方法でそれを届けようとしました。それが「ハレルヤ」なのです。この曲は間違いなく彼らにとってリスクがあった曲でした。

 でもそうして放たれた曲が僕に届きました。

 なんていうか、ロックだけどゆったりしていること、そしてある意味かっこ悪い自分たちを肯定すること、この二点において「ずるいなあ」と思います。でもそのずるさを含めて好きだし、最初に聴いた時は笑ってしまうほどびっくりしました。

 特に歌詞の安易さに。

シング シング シング ユアライフ コングラッチュレイション キス キス ハレルヤ

=Sing Sing Sing Your Life Congratukation, Kiss Kiss Hallelujah(←英訳)
=あなたの生活に祝福を歌いなさい、ハレルヤにキスしなさい(←俺訳)

 「なんじゃこりゃ」と。最初聴いた時は爆笑しました。大袈裟だなーと思ったし、意味わかってるのかな?とも。でも1%の憂いも無く明るく元気に歌っているのを聴いたら、馬鹿馬鹿しいと思いつつもうれしくなるんですよ。この祝福感に。この曲を歌ったり聴いたりすれば笑わずにいられないというか。そういう作用がある気がします。

 割とハードなロックバンドだった彼らが、行進曲のような明るい曲を歌っているのは、惰性でバンドを続けたからできることではないと思います。メジャーレーベルを離れて、自主制作も経験して、そしてバンドのメンバーも変わって、それでも希望とか天井知らずの明るさを歌うことは、多分普通じゃないと思います。

 そして次の曲の「レモンジュース」から一気にロックなモードに突入するわけです。こっちもポップで良いです。


 続きます。