
個人的にいろいろ思いついたことがあるのですが、最終的には以下の3点に収束しました。
1. このアルバムは物語性の強いコンセプトアルバム
2. 踊れないという批判は陳腐
3. 過去と現代を繋げる手法があまりに規格外
1については、Daft Punkが過去の良き音楽に巡礼するというコンセプトで作られただけに留まらず、シンセ等の電子音を駆使してタイムトラベルしているように見せる演出に最初は爆笑したのですが、何度も聴くにつれてつくづく良く出来ていると思いました。1曲1曲が場面であり景色になっている様は、BUMP OF CHICKENの『orbital period』の5倍くらい凄いと思いながら聴きました。
2の「踊れない」という批判についてですが、要はわかりやすいディスコナンバーがほぼ「Get Lucky」だけと解釈した上で書くけど、自分はソウル/AOR的な曲だって自然に身体が動いてしまうけどなーと思ったのが一点。それに「Giorgio by Moroder」の意味不明なインタビュー後の打ち込みのリフレインの後半、ストリングスとドラムが重なる部分を聴いて本 当 に 踊 れ な い の ?なんか問いつめたくなります。
3については、要は一般的な手法がTHE BAWDIESであり、宇多田ヒカルの『First Love』なのです。普通はソウルでもR&Bでも、まずはジャンルをしっかり真似します。で、真似した上でオリジナリティというか、自分の存在感を出すのが定石です。でもこの作品の場合、Daft Punkは既に20年のキャリアがあり、00年代以降のディスコミュージックを確立した上で「Random Access Memories」という物語のゲストに、偉大なレジェント達を登場させているわけです。THE BAWDIESのアルバムにSam Mooreが登場するみたいなものです。にもかかわらず、FNS歌謡祭レベルで終わらないところがあまりに凄すぎるわけで。
なんでこんなことができるんだろーって何度も思いました。あとなぜかマイブラの『m b v』に近い作品だと思ったのですが、理由はまだ考え中です。考えることが多すぎるアルバムです。(★9.5)
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