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 相対性理論の4thアルバム。2013年7月24日発売。amazonで購入。

 amazonのカスタマーレビューをはじめ、Real Soundにおけるライターの宇野維正さんの記事など割と賛否両論で語られているアルバムだけど、個人的には大好きなアルバムです。今までで一番楽しいです。

 その評価の分かれ目は真部と西浦の実質的な脱退に伴い、それに代わる以上のものを提示出来たかどうかだけど、僕は出来たと思ってる。その根拠はいくつかある。

 まず一つ目はバンドが格段にうまくなったこと。相対性理論は元々うまいバンドだったけど、メンバー変更に伴い緻密な演奏が可能になり、レコーディング音源も格段に良くなった。やくしまるえつこ名義でリリースされた『RADIO ONSEN EUTOPIA』も同様のメンバーで演奏していることから、バンドもある程度成熟している。安心して身を任すことができる恩恵は決して小さくない。もちろん前メンバーの荒々しい演奏を懐かしむ気持ちがあることも理解できるけど、個人的には新しい作品に没頭できるこの安定感は捨てがたいのね。



 二つ目は相対性理論が過去の相対性理論をトレース(追随)したということだ。今作は前述のメンバー変更に伴い、かつて行ったようなアルバムごとの大胆な変化を実行すると相対性理論にならないかもしれなかった。だから敢えて今作は1stから3rdまでの路線を継承した。少なくても自分にはそう聴こえた。

 その結果、やくしまるえつこの楽曲が幾分ユーモラスになった。1stと2ndの詳細なクレジットは未だに公開されていないので詳細はわからないし、元々ユーモラスな作家であることは違いない。実際、ももクロの「Z女戦争」で顕著に現れている。しかし今まで以上にやくしまるえつこことティカ・αの比重が大きくなり、笑える曲を意図して増やさなければならなくなったのだと思う。このアルバムは確実にソロの『RADIO ONSEN EUTOPIA』よりも笑える曲が多い。だから真部と西浦がいなくても笑える相対性理論の音楽が存在することがうれしかった。



 自分は真部と西浦がサウンドプロデュースを務めるタルトタタン(※特に亀高・有井期)が大好きだ。だからこのアルバムにおいてどれほど真部と西浦のユーモアが失われたかはわかっているつもり。でもその一方で残されたやくしまると永井が窮地に立たされた上で、バンドの続行を決意したのかも多少は理解できる。やっぱり、相対性理論は大好き。超楽しい。あとやくしまるえつこ、歌がうまくなったと思う。(★8.4)