★8

正直、これは僕の聴きたかった住所不定無職の新作ではなかった。だけどこのアルバムは凄くいいし、相変わらずキラーチューンだらけで超楽しいけど、それでも2011年の『JAKAJAAAAAN!!!!!』にはかなわない。誰よりも気持ちよくギターが鳴っている。その素晴らしさに比べたら、今回のアルバムは子供騙しのディスコ・プレイみたいなものだと思う。

でもそれでも別にいいのね。どうせやりたかっただけなんだから。彼女たちは本当にやりたいことを制約とかを深く考えずにやっちゃうところが最高だと思うのね。1stアルバムはビートルズの『Magical Mystery Tour』のジャケを丸パクリし、その次のフルボリュームシングル（という名のミニアルバム）の『JAKAJAAAAAN!!!!!』ではJackson5の「ABC」をパクリ、それがめちゃイケのテーマ曲に起用されたまでは良かったけど、その後どっかの著作権にひっかかったのか配信も収録も出来なくなったところまでが最高。そしてちゃんと「1.2.3!～fuckin' copyright ver.～」としてリベンジをかますところはさらに最高。

きっとただソウル／ディスコをやりたかったんだよ。やりたくてしょうがなくて、それでバンドの技量とかをあまり考えずにやっちゃって、それが形になっていないところまでが最早芸だと思う。2013年はなぜかディスコがDaft PunkとAKB48によって広められた希有な一年だったんだけど、彼女たちの『IN DA GOLD.』はそれに並べて良いのか微妙な気持ちになるほどの雑な出来だと思う。でも技術云々以外のすべてがある。

個人的にはスカートの澤部が参加した「ムーンライト・シティ・トーク」やスカパラを丸パクリした「Happy Rain～雨のハイウェイ大脱走～」が良かった。以前は意図がよくわからなかった「ジュリア!ジュリア!ジュリア!」がアルバムを通して聴くと本当にいい曲だとわかった。そして「SHANE」の転調後の悪ふざけに死ぬほど笑った。

　なんか楽しいロックを聴いたのが本当に久しぶりな気がして、それだけで十分うれしかった。『JAKAJAAAAAN!!!!!』には及ばないけど凄く良いアルバムだと思う。何度も何度も聴いている。