
★7
LUNA SEA、13年ぶりのオリジナルアルバム。
1
その事実だけで胸いっぱいになりそうだけど、そういうファンの想いに応える誠実なアルバムだと思う。ライブをして、シングルを出して、そしてアルバムを作るというごく当たり前の流れを一度解散したバンドがこなすことは生半可なことではない。その真っ当さがきちんと音に現れている。前半の流れが素晴らしい。「Anthem Of Light」であの頃の懐かしい空気を纏いながら「Rouge」と「The End Of The Dream」というシングル2曲で畳み掛けるのは圧巻。河村隆一のナルシスト的な雰囲気がいい意味で変わっていないのを感じさせながら、ロック感溢れるビートで「夢の終わり」と歌わせるバンドのドSさがたまらない。ただある程度の衰えを見せつつも、昨年重なったテレビ出演でどんどん良くなっていく河村隆一は素晴らしかった。中盤の「MARIA」や「乱」も良かった。
2
だけどこのアルバムは僕の求めていたものではなかった。なぜなら既に「Thoughts」を聴いてしまっていたから。この曲は全盛期のLUNA SEAを超えている。バンドの成熟と今のテンションの高さがうまくマッチしたLUNA SEAがシーンに復帰した意味をこれ以上ないシングル曲だと思う。しかしそれが今回のアルバムでは到達点になっているのがもどかしい。少し話は逸れるけど、実は近年のラルクにも同じ不満を抱いていて、つまりロックバンドとしての狂気とか暴力性が欠けているのがキャリアを積み重ねたバンドの最大の弱点だと思う。今作は「LUNA SEAがLUNA SEAを模倣する」的なコンセプトで作られた感じがしていて、その点では完璧だけど、物足りない。
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