
★7
アメリカのオルタナティブ・ミュージシャン、Beckの12枚目のアルバム。
気持ちいい。音だけで雄大な山の麓に連れ去ってくれる。
アメリカのカントリー・ミュージックについて僕は門外漢もいいところだけど、カントリーが雄大なアメリカ大陸に立つ一人の人間の孤独を描く音楽だとしたら、このBeckの新作ほどそれに相応しいものはない。そもそもBeckはオルタナティブを代表するアーティストであり、僕にとっては雑多な音楽を混ぜ合わせるタイプの音楽を作るオタク的な印象が強かった。しかし今回はニール・ヤングやアメリカのカントリー・ミュージックのような日本人では敵わないような力強さがある。男が惚れる男みたいな音楽だと思う。もちろんただ昔の手法でカントリー・ミュージックを鳴らしているのではなく、むしろ現代の細やかエディット感も随所に見て取れる。
ただこれがBeckの音楽を聴き続けてきた人にとって「これを待っていたよ!」と思うようなど真ん中の作品なのかはわからない。近年で言えばDaft Punkの『Random Access Memories』のように、アーティストが自分のルーツと向き合うタイプの作品だと思う。
ジャンルの性質上、iPodのようなイヤホンで聴くには不向きの音楽だと思う。大きなステレオでいい音で聴きたい。
これを聴いてしまうと3年前のBon Iverのアルバムが小手先のアルバムに思えてくる。もちろんあれにはあれの良さがあるのだけれど、ちょっとこのベックの直球さを前にするとね。
現在、NPRで全曲フル試聴中。
コメント
コメント一覧 (1)
こんばんは
確かにニール・ヤングやCSNっぽいところがある新作だと思います。
ウエストコーストですね。
山の麓っていうのは全くその通りで、
詠唱のような感じ(ヤッホー的な)や
風のような清涼感を感じますね。