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※記事下に【ネタバレあり】の感想を書いています。

【ネタバレ無し ver.】

何を言ってもネタばれになるので、とりあえず同時上映の「巨神兵東京に現わる 劇場版」が想像以上に良かった。庵野秀明がプロデュースし、樋口真嗣が監督を務めた、「館長 庵野秀明特撮博物館」用の10分の短編映画。東京全景のジオラマが出た瞬間は「CGにした方が良かったんじゃ...」と思ったけど、終盤の破壊シーンはめちゃくちゃ凄くて、昔、自分が平成ゴジラを観まくっていた理由がようやくわかりました。あの火薬による破壊はCGではできないものだと思う。ストーリーも濃かった。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」に関しては、ネタバレなしにはもう何も書けません。観てください。

事前に公開された情報について書くと、宇多田ヒカルの新曲は本当にすばらしかった。もしこの曲でなければ、僕はこの映画を忘れたがったかもしれない。過ぎ去ったものの重さを後から気づかせてくれる曲だと思う。





     




     
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【ネタバレあり ver.】

凄かった。観たいと思って人は全員観に行くべきだし、観た後でゆっくり考えさせられる作品だと思う。

・14年後の舞台

14年後という舞台設定には本当に驚いた。シンジはずっと初号機の中で眠っていた。ゲンドウと冬月を除いたミサト、リツコ、アスカ等のネルフメンバーは反・ネルフを掲げた組織・ヴィレを設立し、エヴァ初号機を動力とした戦艦ヴンダーに搭乗し、使徒及びネルフに抗戦。ネルフには別のレイ、カヲルがそれぞれエヴァンゲリオンMark9、13号機に搭乗。エヴァンゲリオンに搭乗する子供達は歳を取らなかった。世界はサードインパクト後の世界が中心で、しかも物語中にフォースインパクトが発生。もうわけがわからない。

シンジはミサト、リツコの組織ヴィレに救い出されるも、14年経過した彼女達はシンジにひと欠片のやさしさも見せない。それどころか状況説明もせず「あなたはなにもしないで」と突き放す。14年前と同じ感覚のシンジは、綾波レイの呼びかけ(※細かいことは不明)に応えるかのようにしてヴィレをあとにする。ミサトは引き金を引けずに、シンジを取り逃がした。そしてシンジはエヴァ零号機に似たMark9に導かれて荒廃したネルフ本部にやってくる。そこでもゲンドウ、冬月は何も説明せず、シンジが心を開いたのはカオルだけだった。そしてカヲルはこの世界の真実をシンジに見せた。

・シンジは悪くないと思う

シンジは前作「破」で「僕がどうなったっていい、世界がどうなったっていい、だけど綾波だけは、せめて綾波だけは絶対に助ける」と決意し、レイを救出した。その結果シンジは年を取らずに14年の世界に投げ出され、しかも世界は滅んでいて、シンジが知るレイは姿を消したという鬱展開に。そして世界滅亡の責任をシンジ一人に押し付けられた。笑っちゃうほどむごい。ミサトもリツコもゲンドウも冬月も彼を突き放す。シンジがカヲルに対して心を開くのはどう考えても無理ない。いくらなんでも大人達が無責任すぎる。アスカはシンジをガキと突き放したけれど、むしろ14年という時の経過を経てもアスカがやさしさを獲得できなかったことの方が悲しい。

よくこんなひどい状況設定を生み出せたと思う。これ以上に酷な状況は無い、と思いたい。その中でそれぞれの理想を求めてゲンドウとミサトの両陣営が衝突する。シンジとアスカが戦い、マリが偽レイを打つ。そしてシンジが再びフォースインパクトの引き金を引く。

それでもシンジは悪くないと思う。例えシンジが悪いにしても、他のキャラも同程度に罪を背負うべきだと思う。シンジは自らの責任と世界の情勢に関する情報を持つ機会を得ず、また他者がそれを与えられる状況でも与えなかった。そこには間違いなくミサト達の意図が存在したのだろうけど、シンジが再び状況を悪化させることを食い止められなかったわけで、どう考えてもシンジ一人の罪ではないと思う。もしかしたらそう思わないと、僕は「破」のシンジを肯定できない。僕は「破」のシンジを肯定してあげたいから、「Q」を観るのが本当に辛かった。打ちひしがれた。

・「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」へ

最後の場面でシンジは生きる気力を失い、アスカに引きずり出された。無理も無さ過ぎるというか、そこでも毅然と立ち上がるアスカが逆に気の毒に思えるくらい強い。一体どんな修羅場を経てきたのだろう。ミサトは加持を失ったのだろうか?鈴原やケンスケは生きているのだろうか?様々な謎が残され、物語は次作「?」こと「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」に受け継がれた。「||」は音楽の反復記号だけど、正直もうこのまま「III」「IV」に行って欲しいけど、やっぱり終わるのだと思う。受け止めたい。