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 4月24日にリリースされたGRAPEVINEの12枚目のアルバムです。ベストアルバム『Best of GRAPEVINE 1997-2012』から7ヶ月ぶり、ミニアルバム『MISOGI EP』からは1年2ヶ月ぶりですが、オリジナルアルバム としては『真昼のストレンジランド』以来2年3ヶ月ぶりの作品です。また今作は『イデアの水槽』以来の全曲セルフプロデュース作品でもあります。

 多分、年齢やリスニング環境も影響して来ると思いますが、僕は駄目でした。

 GRAPEVINEの作品は2007年にアルバム『From a smalltown』から聴き続けているのですが、本格的に好きになったのは2011年のアルバム『真昼のストレンジランド』でした。その後リリースされたミニアルバム『MISOGI EP』も好きでした。最近のGRAPEVINEは商業性を重視しない傾向が強く、ロックというより文学の領域の作品を生み出し続けているのですが、個人的に決め手になったのはサウンドでした。

 一度ライブを観た人はわかるだろうけど、GRAPEVINEのライブは音が抜群に良いです。テンポはゆるやかだけど骨太なグルーヴがもはや芸術の領域に達していて、だからこそ多少難解の曲でも気持ちよく聴かせられるのだと思います。



 今回のアルバムでもその印象は変わっていません。ただセルフプロデュースには功罪の両面があって、結果的に少しジャッジが甘い気がしました。具体的に言うと「コヨーテ」のリズムが駄目でした。この曲はってしまえば退廃的というかやる気のなさを押し出した曲なのですが、聴いていて気持ち悪いのです。ノレない。まあ概してサウンドが気持ちいいのにノレないバンドなのですが、セルフプロデュースの悪影響が出ていると思いました。「無心の歌」や「1977」で気持ちよくなりかけているのに、いきなり止められます。

 ただセルフプロデュースに影響については、「太陽と銃声」についてはある意味ダラけきった環境じゃないと生まれない気がします。ヨーロッパの貴族がバカンスしているような優雅さと退廃があって、この曲はこの環境でないと仕上がらない気がします。

 なんとなくですが、今回の作品はiPodやiPhoneではなく、レコードやCDで大きなスピーカーを使って優雅にお酒でも飲みながら聴いた方がいい作品だと思います。昼酒をするような背徳感があります。(★6.7)