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2013年に観た映画のベストです。

音楽の話ばかりを書くことに疲れ、息抜きを兼ねて久しぶりに映画を観だしたらそれが止まらなくなった一年でした。こんなに観たのは高校生の時以来です。昨年比6倍くらいの本数を観ています。ほとんどレンタルだけど。でも映画館にも足を運びました。映画館で観る贅沢は他の何物にも代えがたく、ランキングの中でもやはり映画館で観た作品が上位を占めることになりました。ここに訪れていただいる方々の日々の映画選びの参考になれば幸いです。 

30. クロニクル

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超能力を持つ世界の入り口に立つ、それだけの映画。一応申し訳程度に成功と破滅が描かれているけど、正直どうでもいい。男の子の血が騒ぐような映像、それだけで最高。学校の嫌なやつに復讐したり空を飛んだり世界をすべて破壊したり。それ以外さっぱり印象に残らないところも含めて丁寧な仕事だと思う。ただ予告にはあった女の子の「何撮ってんのよ、もう!」的なかわいい系お色気的シーンがカットされてたのは残念。

29. 劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語

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僕達が観たかった魔法少女がここにある。やっぱりさやかは飄々と脇に徹することで光るのを再確認できたのは嬉しかった。でも後半いつも同様全てを覆すような鬱展開が待ち受けていて、それがTV版とは違う映画的な演出になっていたことには感心したけど、それでも結局TV版の方がおもしろかった。まどかは相変わらず空気だったね。

28. キャノンボール

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楽天的なハリウッド感とカンフー映画が合わさった最強の大陸横断レースムービー。007ことロジャー・ムーアとジャッキー・チェンが出ている時点で笑える人はきっと楽しめるはず。TSUTAYA発掘良品のいい仕事。

27. LOOPER

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さすがにジョン・ブレイクことジョゼフ・ゴードン=レヴィットとブルース・ウィリスが同一人物なのはさすがに無理がある。でも楽しかった。

26. アウトレイジビヨンド

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たけし流娯楽作品。今回新しく登場したキャストが全員素晴らしくて、最初から最後まで俳優同士のガチンコ対決状態に。今後はいっそパラレルワールドにして、たけし以外全員新規俳優という形でシリーズを継続して欲しい。たけしが司会同然のお人形状態で、それはそれでも楽しそうだったけど、多分本人的には飽きてる。

25. インビクタス 負けざる者たち

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ネルソン・マンデラについてアフリカの若い男の子たちがテレビでみんな一様に「彼を誇りに思う」と真剣な眼差しで話しているのを見て、少しでも彼のことを知りたくなって鑑賞。映画は彼が釈放されて大統領になった以降がメインなので、彼の闘争の歴史が描かれたわけではない。ただそれでもかっこ良い人ということがわかった。モーガン・フリーマンは素晴らしかった。イーストウッドの演出も良かった。ネルソン・マンデラ、どうか安らかに。

24. おおかみこどもの雨と雪

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『サマーウォーズ』を観た時、細田守は家族や社会を描くのが上手だと思ったけど、今回はある意味家族に頼ることができない女性の物語。ただ地域の人たちが助けてくれるのでそのあたりは見ていて安心する。貞本義行のキャラデザは最高。物語の行く末は好きじゃない。

23. 監督失格

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男がむせび泣く姿を観るための映画です。「主役・林由美香」と書かれているけれど、実質的な主役は監督の平野勝之。由美香が笑い、「監督失格だね」と言う。カン松の嗚咽。そして平野はこの映画を作ることでケジメをつけようとする。でもそれは由美香との別れを意味する。女々しさと、それでも立ち上がろうとする男の姿。ただの名義貸しだろうけど庵野秀明の最も優れた仕事の一つ。

22. 舟を編む

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「宮崎あおいが好き」と言う男にはなりたくないけど、もはや宮崎あおい抜きには語れない萌え作品。ミズタクこと松田龍平に萌える人もいるかと。文系的な雰囲気が居心地良かった。

21. ムーンライズ・キングダム

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ボーイ・ミーツ・ガール。いつまでもウェス・アンダーソンはこの題材を撮り続けるだろうし、それでいいと思う。いつの時代も子供は大人は振り回すもの。

20. シュガーマン 奇跡に愛された男

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「嘘みたいな本当の話」が売りの映画。でもその先の部分で描かれる対象のストイックな人生、そしてアメリカでは知られていない彼の音楽、それらが本当に嘘みたいに素晴らしかった。この映画も『風立ちぬ』同様、何かを作り続ける人のための作品だ。

19. ゼロ・ダーク・サーティ

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ビン・ラディンの最後。あまりに静かであっけなかった。でもそれに至るまでの道のりの長さときたら。一般人が携わる日々の雑務とビン・ラディンを暗殺するという彼女の任務、そこに大きな違いはない。彼女はあくまで仕事としてビン・ラディンを追い、それを達成した。時間的には長い映画だけど、適度に集中させてくれる。

18. アウトロー

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トム・クルーズが木曜洋画劇場的なサスペンスに登場した感じ。アクションが凄いけど、撮る側もそれに負けない映像を撮影している。両者のレベルの高さがいい感じで相まって、地味ながら傑作に仕上がった。シリーズ化はヒットの具合とトム・クルーズへのギャラ次第だけど、それでも続けるべき作品。

17. 悪の法則

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以前は「無理だった」と書いたし、今でも「そこまで?」という気持ちがあるんだけど、映画の風格を考えるとこの辺りに置かざる得ない。ジェニファー・ロペスやキャメロン・ディアスは美しいけど飛び抜けたほどでもない。男3人も同じ。やはり脚本の歪さにあるのか。

16. ワールド・ウォー・Z

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最後まで気持ちいい程度に集中させてくれるサービス精神が見事。ゾンビもあまり怖くないし、よく見ると愛嬌がある。自分にとっては『アバター』に近い体感型の作品だった。でも続編はどうだろう。

15. 名探偵コナン 絶海の探偵

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「相棒」等のミステリードラマのシナリオを手がける櫻井武晴が脚本を手がけたイージス艦ミステリー。とにかくシナリオが練られてて圧巻。どう考えても大人の方が楽しめる仕上がり。にもかかわらず過去最高のシリーズ興行収入を記録したところを見ると、子供だましの映画は子供でさえ引っかからないことがこれでわかったはず。にもかかわらず次回作は古内一成による安定のクソ脚本になることが決定済み。大人の事情か。

14. フライト

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整備不良による飛行機事故を食い止める男のドラマ、と思いきや意外な展開を見せる飛行機ドラマ。映画ファンが唸らざる得ないような仕掛けがあって、ネタバレにならない程度に書くと、シリアスなようで結構笑える。デンゼル・ワシントンの上手な使い方。

13. SHAME -シェイム-

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セックス依存症の独身男性と自傷傾向のあるジャズ・シンガーの妹の波乱の共同生活。妹キャリー・マリガンがとにかくブス。実際、意図的に少しデブらせてる。あまり見たくない現実の部分が押し寄せることでマイケル・ファスベンダーの生活が狂っていく。映像が美しい映画だった。同監督&マイケル・ファスベンダーの次回作『それでも夜は明ける(12 years a slave)』も待ちきれないよ。

12. かぐや姫の物語

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もうこの辺りからは完全に好みで順をつけているので、1位をより劣っているとかではないです。だから「風立ちぬ」より順位を低くしたのは単なる好み。途方も無いアート映画だと思う。古典でありながら現代の感覚を纏いつつ、商業映画として魂を売り渡した部分が一切無い。だから痛い。『火垂るの墓』や『エヴァQ』のように心が張り裂けそうになる。

11. クラウド アトラス

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壮大なヅラ映画です。6つの異なる時代の物語が同時並行で描かれるにもかかわらず、演じる俳優が同じで、しかも場面によって主役/味方/悪役が入り乱れるという鬼仕様。上映時間172分。そんな映画、普通なら観たくない。でももし映画館かそれと同じくらい集中できる環境や時間があるなら観てほしい。これは最後まで運命に抗う人たちの革命の物語。いろいろな点で革新的すぎたので気づかなかったけど、今思えば『マトリックス』も革命の物語だった。兄の方の監督はいつのまにか姉になっていたけど、魂はぶれない。

10. スイミング・プール

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当時50代半ばを過ぎていたはずのシャーロット・ランプリングの美しさよ。彼女はフランスの田舎町のプール付きの別荘で執筆するミステリー作家。優雅な休暇と執筆の日々。そこに突如現れた現れた自由奔放なリュディヴィーヌ・サニエ。自分の娘であってもおかしくない年齢の女子がもたらす狂騒。少しずつ歯車が狂っていく毎日とその帰結。そしてそれをすべて覆す大逆転。「わけがわからない」と切って捨てることもできる。だけど僕にはすべてがたまらなかった。

9. マルサの女

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今更ランク入りする必要のない殿堂入り映画だけど、近年のヒットメイカー大根仁の心の師匠であり、夏ばっぱこと宮本信子の旦那・伊丹十三を再評価する動きがあってもいいと思うので。とにかくはじまって10分でとんでもないカメラワークとおっぱいの鷲掴みにやられない人間などいない。悪そうな見た目で実際に悪い山崎努、そして若いころは悪そうじゃない津川雅彦、それを見るだけで目頭が熱くなる。あまりに凄すぎて他の伊丹作品をチェックできない。

8. ドラゴン・タトゥーの女

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天才ハッカー、リズベットを演じたルーニー・マーラが今年の私的ベスト主演女優です。2011年の作品だし、主演でもないんだけど仕方ないよね。そして社会派ジャーナリストをきっちり演じてしまうダニエル・クレイグも凄くいい。原作も最高だけど筆者は死んじゃったから3作目までしかないし、映画の方もデヴィッド・フィンチャーが続投するかは未知数。もうルーニー・マーラしか愛せない!

7. スプリング・ブレイカーズ

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最高のビッチ映画。尻、おっぱい、ドラッグ、そしてスクリレックスの嵐。とにかくゲスい。アメリカの大学生は羽目をはずしたらあんなになるのか・・・と呆れつつ、尻に目を奪われつつ、おっかない人たちに怯えつつ、それを上回るビッチ共のゲスさよ。たまらない。そしてなんていうか、ありとあらゆる人の様々な状況における「どこで引き返すのか」を問いかけるところがなんとも厄介。ゲスなだけじゃないのよ。

6. ドライヴ

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最高のカーチェイス、そしてバイオレンス。それだけでどうしてここまで戦慄し、胸が高鳴るのか。さっぱりわからない。そしてここでも名を連ねるキャリー・マリガン。誰がエージェントなのか知らないけど嗅覚良すぎ。この映画をたとえると北野武がハリウッドで映画を撮って結果今までとあまり変わらなかったものになった感じ。作家性の強い監督はどこで何を撮ろうと変わらないのか。

5. 風立ちぬ

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当時観終わった後「カリオストロみたい」と思ったのだけど、それは主人公が男だからだと思う。といいつつ、宮﨑駿の描く女性の主人公は男性的で頑固なので性格的には大差ない。萌えることもない。だから本来的にはあまり変わらないはずなのに、今までとは違う余韻。「男は不幸になる」と宮﨑駿は語るけど、果たしてそうなのか。宮﨑駿は不幸なのか。弟子の庵野秀明は不幸なのか。何かを作り続けることは不幸への道なのか。わからない。でも僕にはそう見えなかった。それだけでいい。

4. ホーリー・モーターズ

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わからない。一体自分は何を観たのか。観ている間はひたすら楽しかった。物語の行く末やキャラクターに感情移入したわけではない。目の前に見たこともない映像が次々と並べられ、まるでコース料理にありつくような感覚。ストーリー自体はおそらく後付だと思う。それなのに一貫した美しさもあって、贅沢な時間を過ごしたような。ところで自分はあの時何を観たのだろう。さっぱりわからない。

3. ホワイトハウス・ダウン

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ローランド・エメリッヒが贈るホワイトハウスを舞台にした2013年の『ダイ・ハード』。あなたが想像するであろう火器はだいたい使ってくれるであろうサービス精神。いつものように先の読めない世界情勢と大統領万歳の胸熱展開。これを待っていた。「お前の趣味は90年代で止まってるんだろ?」と貶してくれても構わない。一度観てみなよ。『パシフィック・リム』や『クロニクル』ごときで喜んでいる場合じゃない。

2. 真夏の方程式

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おそらくTVシリーズから映画に進出したものの中で歴代最高の映画。ミステリー的に大きな謎はない。でもそれを解いてからの落とし所が厄介なのが西谷弘のガリレオの特徴なのだけど、それさえもどうでもいいと思わせるような海辺の街の風景。そして太陽に照らされながら自由研究に勤しむ少年と福山雅治。水着姿の杏。そして今では見かけなくなった家族経営の萎びた旅館。これが映画だと思う。北野武作品の撮影で知られる柳島克己の起用が効いてる。まるで20年前にタイムスリップしたような感覚を味わうために、僕は何度も映画館に通った。

1. ゼロ・グラビティ

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これは映画なのだろうか。つまりこれが実写なのかCGなのかわからないというちんけなレベルではなく、本当に僕は映画館の座席で観ていたのか、それとも実際に無重力空間をさまよっていたのかがわからないのだ。その境界が一気に揺らいでしまうような濃密な90分だった。カメラは幾度と無く視点を変え、遠くから衝突事故を眺めていたかと思えば、いきなり自分がサンドラ・ブロックの目で宇宙空間を眺めている。もしかして上映中、身体から僕の魂が抜き取られ、本当に無重力空間に置かれていたのではないのか。その疑問をはっきり否定する自信がない。これは映画なのだろうか。吹替がおすすめ。

2013 この10人

10. モーガン・フリーマン(主演『インビクタス』、出演『オブリビオン』)
9. カンパニー松尾 (撮影、出演『監督失格』)
8. キャリー・マリガン (助演『ドライブ』『SHAME-シャイム-』、主演『わたしを離さないで』)
7. 庵野秀明 (声優『風立ちぬ』、プロデュース『監督失格』)
6. 宮崎あおい (女優『舟を編む』)
5. サンドラ・ブロック (主演『ゼロ・グラビティ』)
4. アルフォンソ・キュアロン(監督、脚本、制作『ゼロ・グラビティ』)
3. 柳島克己 (撮影『真夏の方程式』『アウトレイジビヨンド』)
2. 橋本愛 (主演『ハードナッツ!』、助演『あまちゃん』)
1. ルーニー・マーラ (助演『ドラゴン・タトゥーの女』)

今更すぎる大傑作

10. 下妻物語 (2004)
9. ダーティハリー (1972)
8. ゴッドファーザー PARTI (1972)
7. アメリ (2001)
6. 七人の侍 (1954)
5. ゴッドファーザー PARTIII (1990)
4. マトリックス (1999)
3. フェイス/オフ (1997)
2. インディペンデンス・デイ (1996)
1. ゴッドファーザー PARTII (1974)

すごく楽しみにしている映画

10. 相棒 -劇場版III- (2014)
9. 夢と狂気の王国
8. キック・アス ジャスティス・フォーエヴァー (2014)
7. ブリングリング
6. プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命
5. 愛の渦 (2014)
4. インターステラー (2014)
3. わたしはロランス
2. それでも夜は明ける (2014)
1. ゴジラ (2014)

観てはいけなかった映画

5. アイアンマン3
4. 苦役列車 (2012)
3. 横道世之介
2. 蒲田行進曲 (1982)
1. ダイハード/ラストデイ