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昨日のクリープハイプ爆弾について、僕個人としてはレコード会社悪者説に傾くのが嫌なので多少レコード会社を擁護しつつ、どちらも悪いのだろうなーと思った。ビクター在籍時のみならず、インディーズ時代の原盤権まで押さえられている事から、契約の時点で相当な借金を作っていたのだと推測できるし、声明の通りバンドメンバーにリリースが知らされていなかったにせよ周囲の人間はこのような事態を想定したはず。

意に反してベストアルバムがリリースされる事態は今に始まったことではなく、YMO、宇多田ヒカル、鬼束ちひろ、THE YELLOW MONKEY、スピッツなどありとあらゆるアーティストがそのような事態を経験し、なおかつ偉大な先人たちは「プロになりたいんだったら、 契約概念を把握しておくこと」(by 山下達郎)という言葉を残しているわけで、いくら潔白を装って被害者ヅラをしたところで「何を今更…」感は拭えないわけで。

また3月の決算前ということでビクターのお家事情も影響しているという話も。

あのね。ビクターは去年の夏にリリースしたサザンのシングルが散々だったの。でかいタイアップ取りまくって、キャンペーン打ちまくってすごくすごく頑張ったのに、散々だったの。

一方、ベストアルバムのリリースがレコード会社から宣告される逆境に直面しながら、それを逆手にバンドのプロモーション活動を邁進した2008年のランクヘッドのケースもTLから流れてきて、あらためて本当の意味で「ロック」なのはどちらなのか、勝負あったと思う。ちなみにランクヘッドはベスト盤リリース後もビクターに在籍し、その後もう1枚ベスト盤を出すという偉業を達成している。これこそがロック。

とにかく、どうやっても出るものは出てしまう。じゃあ、こうなったらもう自分達の力でプラスの物にもって行こう!!とチーム一丸となって一致団結した頃にはもうジェットストリームアタックツアーが始まっていた。我々はこのベストアルバムをランクヘッドの入口にしてもらえるようなアルバムにしよう、と考えた。それから皆で色んなアイデアを出した。とりあえず新曲は絶対1曲目にしよう。カップリングの沢山入ったシングルを作る気持ちで作ろう。東京にてと僕と樹は新録で入れよう。収録曲はファン投票で決めよう。そうやって紆余曲折があって先日の発売に至った。

それから今回の事件について音楽メディアの対応が分かれていて、我らがナタリーが勇気を出して報じてくれた。個人的にナタリーはあまり好きではないけど、これはもう無視できないレベルの英断だと思う。

ナタリー / クリープハイプ「ベスト盤はバンドの意思ではない作品」

その代わりと言ったらなんだけど、ロッキング・オンの体たらくっぷりときたら(先ほど記事が出てました)。Real Soundの沈黙も気になるところ。

ところでクリープハイプの声明について、テキストではなく画像ファイルなのがいやらしいという意見が結構あって、それが個人的なツボだった。あと安っぽいジャケットを使うくらいなら事件になったファン自作Tシャツが一番いいと思う。

ただの推測だけど、もしかしたら今回の一件はバンドのメンバーやレコード会社の担当ではなく、会社の上層部による決定によるもので、そういう決算期前のベストアルバムという悪しき風習をなくすためにバンドと担当の合意に基づいて声明を出したのかも。それなら支持できる。