
『笑っていいとも!』での小沢健二は本当に素晴らしかった。はじめてリアルタイムで見たオザケンは想像したよりも歳を取っていたし、後半の弾き語りではあまり声が出ていなかった。明らかに調子の悪い状態での出演だったはず。だけどテレビで小沢健二の歌が流れることに意味がある。
今では小沢健二のことを知っている人は少なくて、先日「オヤジくさっ!と思う“男のカラオケ定番ソング」という記事でイエモンとともに小沢健二の名前が並んでいたのを見た時はショックだった。だから定期的にテレビに出るのは本当に大切。年齢的にはミスチル、ウルフルズ、スピッツ、ラルクと大差ない。彼らと小沢健二の今の境遇を分けたのはしっかり活動しているか否かだけだと思う。
2010年の「ひふみよ」ツアーの後、次の年くらいには多くのフェスでヘッドライナーを務めると思っていた。2年経てばアルバムが届くと思っていた。オザケンがどういうペースで活動したいのかはわからないけど、『LIFE』の名曲たちが懐メロ同等に扱われてしまうことは、リアルタイムでハマることが出来なかった僕でさえ納得できない。
好きな曲はあっても、実はアルバム単位で小沢健二に猛烈にハマったことはない。1998年から音楽を聴き始めた人間にとって小沢健二は過去の人だった。リアルタイムで追えたのは2006年の『毎日の環境学』だけ。でもあれはボーカルレスのアルバムだから除外。2010年までライブはなかったし、テレビでさえ過去の『笑っていいとも!』出演の映像しか見ていない。
そんなオザケンが、ようやく僕らの前にその姿を現した。「タモリのために出演を決めた人は小沢健二だけじゃないの?」と思うくらい、心のこもった演奏をしていた。いろいろな想いが溢れて観ているこっちまで泣きそうになった。そして僕のiTunesの中の『LIFE』が再び輝きを放ち始めた。
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