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★6

昨年リリースされたThe Mirrazのミニアルバム。

正直、メジャーデビュー以降のミイラズは何を目指しているのかがよくわからなかった。でも「NEW WORLD」はミイラズの曲の中でもとびきり早くマシンガンのように言葉が次々と放たれるのだけど、歌詞が追い切れないのに伝わってくる肯定感が気持ちいい。頭が認識できる速度を一気に抜きさるそのスピード感もたまらない。



メジャーデビュー以降、ミイラズは大きなバンドになろうとしている。エゴを突き立てて世界に中指を突き立てる、そんなわかりやすい反抗のポーズが特徴だった。しかし今の彼らはひたすら僕らリスナーに寄り添おうとしている。畠山個人のバンドではなくみんなのバンドになるために、より普遍的で大きな物語を作りだそうとしている。これこそがメジャー進出の目的であり、ミイラズの挑戦なのだと思う。

やはり2012年のアルバム『言いたいことはなくなった』が大きい。あの時ミイラズはタイトル通り「言いたいこと」を言い尽くし、一度終わりを迎えた。そして前作『選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ』も同様、メジャーで戦うことを選んだ。結果的にテンポが早くなり、音数が増えて、ギターロック的な印象が強まった。

今回の『夏を好きになるための6の法則』には未発表曲と新曲が半数ずつ収められている。「名曲」「NEW WORLD」「エンドレスサマー」の3曲が、ベストアルバム騒動に巻き込まれて未発表曲として存在が知られ、今回、発表される形になった。ただ、結果的に今のミイラズの攻めの姿勢に合っている。個人的にはテンポが早い前半の曲よりも、どちらかというと静かな「Fireworks」が好みだけど、思えばこういう曲も以前よりずっとドラマティックになった。