
★9
すごくおもしろかった。
お金のない人は荒廃した地球に住み、お金のある富裕層はスペースコロニー「エリジウム」で何一つ不自由のない生活を送る2154年の世界が舞台。
犯罪歴のある主人公・マックスは工場で働き、無能な上司のせいで命の危険に関わる重大な事故に遭う。そのような事故への賠償はない。当然満足のゆく治療は受けられない。
一方でスペースコロニーに住む富裕層は、最新鋭の医療マシーンが常備された邸宅に住む。
2極化された世界なのだから、当然クーデターが起こり、もちろんすぐに鎮圧される。しかしそのような反乱が、今回たまたま富裕層の内紛とうまく絡み大きな騒動を引き起こす。
『第9地区』のニール・ブロムカンプ監督の作品ということで、社会的なテーマとSFが結びつくことは容易に想像がつくし、実際の映像はその何倍も素晴らしかった。
愛とアクションを上手く描いていた。自分のために戦っていた主人公が、幼なじみの女性のその娘のために戦うようになるのは感動的だった。アクションも見せ方が本当にうまかった。
そして何よりも素晴らしいのは、この物語が幕を閉じた後を考えさせることだ。
ネタバレになるので気になる人は読まないで欲しいけど、主人公たちのクーデターは成功し、エリジウムはすべての人に開かれた空間となった。
でもエリジウムは財政的に厳しい状態にあり、また地球上のすべての人を許容できるような空間でもない。結末では医療マシーンを地球に投下することでハッピーエンド的な終わり方をしていた。しかし主人公たちの手によって楽園が壊されたのもまた事実なのだ。
これを今の地球におきかえると前述の先進国と登場国の問題に行き付き、日本に置き換えると移民の問題になる。本当は怖い映画なのに、そういうことをあまり感じさせないくらいCGとアクションが素晴らしかった。
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