「人は自然には勝てない」という価値観が刻まれているのが素晴らしかった。絶対的な敵がいて、それを排除するのが今までのヒーロー映画の価値観だった。今回、制作したレジェンダリー・ピクチャーズがクリストファー・ノーランと共に作り上げた「バットマン」3部作は、正義への問いかけが物凄いテンションで描かれていたのだが、今回の「GODZILLA」は人がヒーローであることを放棄していた。
巨大怪獣の前では人は無力。何をやっても失敗する。そのような価値観がアメリカの映画で扱われ、しかもヒットしているのが凄い。そういうことができるのはローランド・エメリッヒくらいだと思っていた(エメリッヒは人間ドラマに持って行くけど)。
今回の人間の主人公は最初から最後までヒーローであろうとしていなかった。ただ騒動に巻き込まれた哀れな爆破物処理員だった。そしてその周囲で多くの人間が犠牲になった。原発事故、津波、911、広島がコラージュのように散りばめられていた。
ゴジラはかっこ良かった。ギャレス・エドワーズは僕が好きだったゴジラを蘇らせてくれた。賛否両論に分かれているけど、僕にはとても楽しい映画だった。時間があればもう一度見に行きたい。(★7)
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